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第1章

韓国

 

1. 韓国における港湾の概況

 

(1) 釜山港の概況

釜山港は朝鮮半島の東南端に位置する天然の良好であり、1876年に開港した。水深が確保されている一方で、湾内静穏度が高く、防波堤への投資が最小限ですんでいる。

最初のコンテナ船入港は、シーランドによるもので、1970年であった。現在はコンテナの取扱量で、香港、シンガポール、高雄、ロッテルダムに続き、世界第5位を占めている。近年の取扱量増大の背景には、韓国の製造業生産量の増大と日本による海外直接投資があり、1980年代終り以降、アジア域内海上貿易が増加し、とりわけ対中国貿易が急増した。アジア域内航路とフィーダー船の入港増加にともない、従来の大型船用バースを中心とした整備政策や釜山ないし周辺港への投資集中主義が見直しを迫られた。韓進海運の子城台(ジャスンデ)ターミナルなど、国内船社が特定ターミナルをハブ化したことも、ターミナル間での利用の偏在を招き、船混みを加速した。

韓国においては、コンテナ貨物の95%以上が釜山港で取り扱われている。釜山港の中核をなす北港地区は1906年から44年に建設され、一般貨物、冷凍コンテナ、セミコンテナ船貨物、フィーダーコンテナなどを扱う在来埠頭、ならびに穀物埠頭、石炭・鉄関係埠頭、国際・沿岸旅客船埠頭からなり、その隣接地に子城台、神仙台(シンサンデ)両コンテナターミナルが併設された。南港には、漁業基地、外港地区のカムチョーン湾とタダエボ湾には遠海漁業基地と木材港がある。

後述のコンテナ専用埠頭に加えて、釜山港においてコンテナを扱う在来埠頭は5ある。すなわち第1から第4の各埠頭と中央埠頭である。ただし第4埠頭にガントリークレーンが1基設置されているのを除き、埠頭上に固定荷役設備は整備されていない。これらの埠頭の利用は、フィーダー船に限られている。

全貨物を対象とした韓国の港湾における施設不足率は1990年代に入って悪化し、1995年度には42.4%、釜山港では53.8%であった。釜山港における滞船率は、同じく95年度に8.8%、船舶当り平均沖待時間は3.8時間であり、その年間損失額は700億ウォン(9,080米ドル)に上ると推定されている。

 

 

 

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