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(3) 港務局のしくみ

港務局は、港湾法第4条2]に基づいて地方公共団体が組織する公法上の法人である。これは営利を目的としない法人であり、独立採算制を原則とし、委員会および事務局によって運営される港湾管理のための組織である。港務局がもつ特色、および新井浜港務局の特色を整理すると以下のとおりである。

 

1) 港湾管理者として国からの権限の委譲

港湾法第二条において、「この法律で『港湾管理者』とは、港務局または地方公共団体をいう」と規定している。この規定により、港湾管理の権限は国から港務局または地方公共団体に移された。昭和25年5月に施行された港湾法だが、すでに地方分権を先取りしていたといえよう。昭和28年5月14日に制定された「新居浜港務局定款」第4条によれば、港務局が新居浜港の管理運営を行うことが規定されている。

 

2) 地方公共団体と港務局の関係

港湾法第四条に、「現に当該港湾において港湾の施設を管理する地方公共団体、従来当該港湾において港湾の施設設置若しくは維持管理の費用を負担した地方公共団体又は予定港湾区域を地先水面とする地域を区域とする地方公共団体は、単独で又は共同して、定款を定め、港務局を設立することができる」と定めている。つまり、地方公共団体が港務局を設立することができる。地方公共団体と港務局の財政的な関係については、港湾法第三十二条において、港務局は毎事業終了後2カ月以内に財産目録、貸借対照表、および損益計算書を作成し港務局を組織する地方公共団体に提出しなければならないことを定めている。

新居浜港務局の場合は、港湾法第四条2]「前項の規定は、国及び地方公共団体以外の者が、水域施設及び外かく施設の全部又は大部分を維持管理している港湾においては、その者が関係地方公共団体のいずれかに港務局の設立を求めた場合を除きこれを適用しない」に基づいて設立された。すなわち、港湾の旧維持管理者(住友金属鉱山(株))が地方公共団体(新居浜市)に港務局の設立を求めた結果つくられたのが、新居浜港務局である。

 

3) 独立の法人組織

港湾法第五条に、「港務局は営利を目的としない公法上の法人である」と定められている。地方公共団体が港務局を組織するが、それは独立した法人である。港務局は、地方公共団体、行政庁、公共的団体のいずれにも該当しない。また、港務局は定款を定め(第六条)、登記の必要(第八条)がある組織である。

新居浜市は新居浜港務局を組織し、昭和28年5月14日に「新居浜港務局定款」を定めた。この定款に基づいて新居浜港の管理が行われている。

 

 

 

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