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g. リスク単独、ないしリスクと上記諸目標との間のシェア。各主体が負担する経済的、技術的、あるいは経営的リスクの軽減。

 

実際の民営化、市場化、経営改善等の政策選択肢については、以下のものがある。

a. サービス契約(港湾運送事業免許制等)。

b. 経営契約─公有施設を経営・運営する業務を民間に委託する契約であり、所有の移管はともなわない。民間側は追加的クレーンを整備し、埠頭設備を維持し、(取扱量保証付)泊地使用料・荷役料を徴収することを許される。

c. 市場化─資本調達、経営再編、価格決定、一般業務の権限を公的セクターから港湾管理者に委譲し、市場需要に対応するための柔軟性を持たせる一方で、残りの権限は公共側に残す。政府は料金に介入できてもあまりそれを行使しない(シンガポールのPSA)。

d. 会社化─政府所有の独立組織を設立し、公共部門内で移管を行う。原則として営利追求を行う。政府持株会社の完全子会社の形態をとるケースが多く、政府は理事評議員会を通じて決定に介入する(ニュージーランドでは所有の49%まで売却可能)。

e. 合弁事業─政府と民間の共有であり、民間売却を通じて形成することも可能である(ハチソン社と上海港湾局の合弁事業)。

f. 賃貸─公有資産を民間セクターに賃貸し、一定期間運営を行わせる。民間が追加投資を行うことが多く、その場合には公民間で利潤のシェアが行われる。賃貸方法としては、用地・施設の賃貸(タイのレムチャバン第2〜第4コンテナターミナル、ガントリークレーン等の施設つき)、用地賃貸・施設売却(ポートケラン・コンテナターミナル、固定施設賃貸+可動施設売却+経営委託)、あるいは用地・施設の拡張権が与えられる方式、がある。

g. 開発許可証販売─投資家に未利用地の開発・施設設置許可証を販売し、資金調達、開発、運営の全てを民間セクターが行う(香港)。

h. 民営化─民間セクターに港湾を運営させるために公有資産を様々な方法で売却する。

i. BOT(建設→運営→移管)ないしBOO(建設→所有→運営)─民間セクターに、資金調達、建設、(所有)、運営の能力を発揮させ、プロジェクトを統合させる。他の大規模プロジェクトと比較して港湾ではBOT方式は少ない。

j. 株式市場上場─全株式の民間セクターへの放出であるが、政府が50%程度の所有を維持するケースや戦略的産業として黄金株(議決権つき株式あるいは拒否権つき株式)を保有するケースも多い(英国、ニュージーランド)。

 

このような改革を行ううえでの留意点としては、以下が指摘されている。

 

 

 

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