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2) 九州・山口の「自立」=門博港の台頭

1] 神戸港のフィーダー・ポート北九州港の「自立」

(a) 北九州港のコンテナ貨物取扱量の急増

北九州港は1980年以降、90年代中ごろまで、毎年10%以上の高率の増加率でそのコンテナ貨物取扱量を急増させている(図表I-4-17)。この背景には田野浦、太刀浦、小倉のコンテナ・バースの供用開始とそれにともなうアジア航路を中心としたコンテナ航路の開設ラッシュがある。

96年以降、取扱量が減少している原因は、北九州港がアジア物流に特化しているため、アジアの景気減速とその後のアジア経済危機の影響を顕著に受けていることが原因である。

 

図表I-4-17 北九州港のコンテナ貨物取扱量推移

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出所:北九州市港湾局『北九州港港湾統計』

 

2] 神戸港のフィーダー・ポートからの脱却

北九州港は田野浦、太刀浦両コンテナ・バースが関門海峡の内側、すなわち、瀬戸内にあることからも分かるように、もともと神戸港の国内(瀬戸内)フィーダー・ポートとして出発した。九州港は西日本で多く見られる、内航フィーダーを使った神戸港を母港とするフィーダー・ネットワークの中の1港湾(しかしその最大のもの)として機能していた。図表I-4-18でも分かるように、神戸港から北九州港への内航フィーダー貨物は、85年から94年の間、移出で実入りコンテナは横ばい、空コンテナは1/3に減少している。移入では、同じく2/5の減少と横ばいとなっている。

 

図表I-4-18 神戸港の対北九州内航フィーダー貨物量推移

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出所:神戸市港湾整備局『神戸港大観』各年版より作成

 

つまり大枠では前述した日本におけるコンテナ物流活動の地方分散の動きの中で北九州港もダイレクトの外国航路を開設するようになる。そしてこのことは神戸港との関連で見るならば、神戸港からの北九州港の「自立」─神戸港のフィーダー・ポートという位置からの脱却─を意味している。

北九州港の「自立」の背景には後背地である北九州市・山口県周南地区に集中して立地するメーカーが自社工場・倉庫近接型物流を求めたことがあることは言うまでもない。

3] 博多港の急激なコンテナ貨物取扱量の増加

博多港も、80年代後半以降、北九州港以上に急激にそのコンテナ貨物取扱量を増加させており、90年代後半には輸出入合計で700万トンと北九州港を凌駕している(図表I-4-19)。

 

 

 

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