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1) 集荷力の弱さ

もともと地方圏はコンテナ貨物量が少ない(図表I-4-10)。それは産業が集積している関東、東海、関西といった三大都市圏およびその周辺とは違って、地方圏は産業集積の度合いが低いからである。また国内輸送コストが高いことは地元地方コンテナ港湾の利用を促進すると同時に、当該地方コンテナ港湾にとって遠隔地にある貨物の集荷を困難にもする。さらに地元貨物であってもLCL貨物の集荷は、混載をしてもコンテナ1本に満たないケースが多く採算が取れないこと、および混載業者そのものが存在しないことから困難である。

 

図表I-4-10 地方圏のコンテナ貨物生産・消費量の少なさ

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出所:大蔵省関税局他『全国輸出入コンテナ貨物流動調査報告書』各年版より作成

 

2) 航路ネットワークの構造

現在、東アジア規模での港湾間階層構造が形成されつつあり、その階層とは、頂点から1]東アジア規模のハブ・ポート、2]準ハブ・ポート=局地経済圏のハブ・ポート、3]国民経済規模のメイン・ポート、4]欧米との間を結ぶ基幹航路を持つ地方港、5]近海航路のみを持つ地方港、6]国際コンテナ航路を持たない地方港という6層になる。基本的に日本の地方港のコンテナ港湾化は1]〜3]の機能を従来、五大港に依存していたものを他の東アジア主要港に振り替えただけに過ぎないケースが多い。いわば日本の地方港は連携相手を五大港から他の東アジア主要港に換えることによってコンテナ港湾化を達成してきたと言えよう。したがって国境を無視すれば東アジアにおける日本の地方港の位置づけは変わっていないし、今後とも3]や4]に上昇することは困難であることになる。

 

(3) 国内五大港─地方港間分業の構造

ところで単純化するならば、現在までの日本国内でのコンテナ港湾間分業は、神戸港等の五大港が、五大港の直接の後背地である三大都市圏のコンテナ貨物全般と遠隔地である地方圏のサービス重視型貨物を取り扱い、地方港は地元地方圏のコスト重視型貨物を集荷するという一種の分業の構図ができあがっている。国内的にはコンテナ港湾施設の地方分散政策と国内輸送の短縮化により、従来、日本全国のコンテナ貨物のほとんどを取り扱っていた五大港が、しだいに遠隔地である地方圏のコスト重視型FCL貨物を手放し、地方港にゆだねつつある。地方港は距離(近接性)という点で地元のコスト重視型FCL貨物に関して五大港を含めた他港に対して競争力を持っている。

 

 

 

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