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(1) 提携方式のとらえ方

神戸港と大阪港の提携には、大きく分けて2つのタイプがある。一つは、両港が従来と同様の独自の経営方式を採りながら提携するタイプであり、もう一つは両港が完全に合併して新たな経営方式を採用するケースである。

 

1) 両港が独自の経営方式を採るケース

両港は独自の経営方式をとるから、行動を規定する要因は、前節で導かれた各港の行動変数がそのまま採用される。しかし提携の方法に応じて、戦略的行動変数であるコンテナ化率は、前節とは異なるバーチュアルな内容を持つことになる。

これには二つのケースが区別される。両港が事業部制的に提携するという最も弱い提携のケースか、あるいはいずれかの港が経営の主導権を採って、合併的に運営するという、次のステップのケースである。この時、提携戦略の変数としてコンテナ化率を採用すれば、両港が事業部制的に提携するという最も弱い提携のケースでは、提携戦略の変数であるコンテナ化率が、例えば神戸港事業部では、

[神戸港のコンテナ貨物/神戸港と大阪港の製品貨物の合計]

でとらえられ、この要因を加えた神戸港の既存の輸出行動要因が、神戸港の輸出物流量の決定にどのように作用するのかが計測される。一方、大阪港事業部では、大阪港の輸出物流量の決定に対して作用する提携戦略の変数であるコンテナ化率が、

[大阪港のコンテナ貨物/神戸港と大阪港の製品貨物の合計]

として捉えられる。

また次のステップとして、いずれかの港が経営の主導権を採って、合併的に運営するというケースにおいては、提携戦略変数は共通して、

[神戸港と大阪港のコンテナ貨物/神戸港と大阪港の製品貨物の合計]

であるが、神戸港が経営の主導権を採るケースでは、前節で明らかにされた神戸港の既存の行動変数の組み合わせが選択され、一方、大阪港が経営の主導権を採るケースでは、同様に前節で明らかにされた大阪港の既存の行動変数の組み合わせが選択される。この場合、いずれの港が主導権を採るとしても、行動の対象は共通して、神戸港と大阪港の輸出物流量の合計である。

 

 

 

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