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外航利用運送事業は、自らB/Lを発行し一貫した運送責任を負う。貨物運送取扱事業法によって法的に位置づけられ、規制を受けるようになった。参入については財政基盤の健全性を要件とする許可制、運賃・料金の届出制、運送約款の認可制が定められている。

一方、外航運送の取次を行う事業者は、海貨業あるいはオーシャン・フレイト・フォワーダー(Ocean Freight Forwarder)とも呼ばれ、外航取次業に該当する。外航取次業は、運送責任を負わず、船社に運送を取り次ぐに留まる。外航利用運送事業より緩やかな登録制がとられている。

通関業は通関業法により規制されている。通関業の新規参入には、厳格な許可基準が規定されているが、営業区域の制限や営業許可の付帯条件等が弾力的に運用されるようになっており、需給調整も廃止される予定である。

フォワーダーの大部分は、中小企業によって占められている。1996年度、外航利用運送事業者182社のうち、大企業(資本金額または出資総額が1億円を超え、かつ常時従業員数が300人を超える事業者)は61社であり、中小企業は121社である。大企業に分類される事業者でも、従業員数が500人を超える企業はなく、実運送業者と比べれば小規模である。

他の事業を兼業している場合がほとんどであり、専業比率が50%を超えるフォワーダーは22社に過ぎない。専業比率50%以下の事業者(160社)の主たる事業では、多い順に梱包・その他(54社)、港湾・倉庫(51社)、自動車利用運送事業(14社)、航空利用運送事業(12社)等となっている。主たる事業以外にも利用運送を中心に多様な物流関連事業を兼業している場合が大部分である。多様な物流関連事業を総合的に営み、荷主の多様なニーズに応えることにフォワーダーの存在意義がある。

 

2) 米国

米国には、日本の運送取次業、利用運輸業に相当する事業として、プロパティ・ブローカー、NVOCC、オーシャン・フレイト・フォワーダー、エアー・フレイトフォワーダー、シッパーズ・アソシエーション、ドメスティック・フレイト・フォワーダーがある。

外航海運に関連するのは、NVOCCとオーシャン・フレイト・フォワーダーである。NVOCCは、荷主に対しては船舶を運航しないコモンキャリアであり、船社に対しては荷主となる。荷主に対し自己の名前でB/Lを発行し、一貫責任、通し運賃の複合一貫輸送サービスを提供している。NVOCCは、船社とサービス・コントラクト(SC)を結び低廉な海上運賃を引き出す一方で、個別の荷主からの貨物を混載することで差益を得ている。さらに複合一貫輸送の提供により、荷主に対しより付加価値の高いドア・ツー・ドア・サービスを提供している。NVOCCは、準司法機関であるFMC(連邦海事委員会)への登録制、運賃の届出制となっている。荷主保護の観点から5万ドルの供託金(ボンド)を積む必要がある。

 

 

 

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