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序章

本調査の目的と調査結果の要約

 

[本調査の目的]

今日、輸送・在庫管理・保管・荷役・受注分析などを統合したロジスティクスの概念を、調達・生産・流通のプロセスに組み込むことが企業生き残りの必要条件にさえなっている。物流関連の社会資本整備と物流サービスの効率化を考えるためには、輸送の効率性だけでなく、生産地から最終消費地、原材料から最終製品をつないだシステム全体としての費用と物流サービスの質を考えなければならない時代になった。

本調査では、このような荷主ニーズの動向を把握し、神戸港・大阪港をはじめとする阪神圏の港湾を念頭において、物流サービスの効率化という今日的な課題を制度的・計量的に分析した。

第I部では、加速する定期船市場における競争と、国際的な拠点港湾間の競争のもとで、日本のコンテナ港湾が運営面で見落としているロジスティクスの視点を提起する。とくに定期船市場での競争が船社の経営戦略に与える影響や、港湾整備・港湾管理面の問題点、および地域戦略としての港湾経営のあり方について検討した。第II部は、韓国・香港・シンガポール・台湾の4カ国で行ったインタビュー調査をもとに、効率的な港湾物流サービスという視点から、港湾整備政策、港湾管理システム、民営化の方向性、港湾物流業者の現状等をまとめた。第III部では、港湾当局者、船社、荷主によるゲーム的な状況をモデル化し、これらプレーヤーをとりまく環境設定を変化させてシミュレーション分析を行った。

 

[調査結果の要約]

第I部 現状分析編

第1章 荷主ニーズ高度化に対応した物流事業者の対応

荷主ニーズの高度化とともに、サプライチェーン・マネジメント(SCM)への関心が高まっている。SCMは、総合物流施策大綱でも取り上げられ、その革新性が広く知られるようになった。SCMの概念は多様であるが、基本的には製造業者、卸売業者、小売業者等、段階の異なる事業者によって構成されるサプライチェーンのロジスティクスを企業間の連携で効率化することを意味する。

 

 

 

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