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序章 概説

 

1 国土、人口

 

ラオスは北緯14度から23度、東経100度から108度の間、インドシナ半島の中央に位置する内陸国である。国土は東西に800km、南北に1000kmと細長く伸びており、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、中国の5カ国に囲まれている。国土面積は23万6,800km2(本州とほぼ同じ)で、そのうちの90%は山地、丘陵、高原である。ほぼタイとの国境線に沿ってメコン河が流れており、その流域に平野が広がる。人口の大半はその平野部に居住している。人口は1996年の国家統計局のセンサス・データによれば(以下、断りがない限りこのデータを使用する。)472万7,600人、人口密度は1km2あたり20人である。首都はメコン河に沿った都市、ウィエンチャンである。ウィエンチャンは、都市部の3,920km2がウィエンチャン特別市に制定されており、人口は54万1,600人、人口密度は1km2あたり138人である。現在ラオスは、ウィエンチャン特別市、16の県、1つの特別区からなっている。県の下は138の郡、11,640の村から構成されている。

 

2 民族・言語・宗教

 

ラオスは多民族国家である。公式には68の民族がいるとされているが、この分類の根拠は明らかでない。人口の約6割を占めるのが、主にメコン河流域の平野部に居住するラーオ族である。その他、モン族、ヤオ族、アカ族など主に山地や丘陵地帯に居住する様々な民族、越僑、華僑など主に都市に居住する民族から構成される。身分証明書などの民族分類では、各民族の民族呼称よりも居住地の高低によって民族を3つのグループに分類して呼ぶのが一般的である。その分類はラーオ・ルム(低地ラーオ族)、ラーオ・トゥン(中高地ラーオ族)、ラーオ・スーン(高地ラーオ族)である。

各民族はそれぞれ独自の言葉を持ち、使用しているが、主要民族であるラーオ族の言葉、ラオス語が国内の公用語となっている。1991年に制定された憲法第9章75条には「ラオス語およびラオス文字が公式に使用される言語および文字である。」と規定されている。

ラーオ族の約9割は上座仏教を信仰しているとされ、全体的には上座仏教国である。ラーオ族以外の様々な民族は、民族固有の信仰、精霊信仰が多いとされるが、仏教に改宗した人々もおり、さまざまである。

 

 

 

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