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こうしたなか企業は、賃金体系の見直しだけでなく、雇用調整、組織の簡素化・フラット化、外部労働力の活用促進等の革新に取り組むなど、20世紀末葉から21世紀へかけてのこれからの人事制度の改革として何を課題としているのかを複数回答で尋ねてみた。

その結果、人事担当者からみた今後の人事制度の改革の対象としては、まずは「能力・業績主義の徹底」を93.3%と、ほとんど全部の企業が挙げ、次いで「人事評定システムの改革・見直し」も74.3%と、4分の3の高い割合となっていて、従来の年功を重視した制度から能力を重視する方向への脱却が極めて色濃く出ていることがうかがわれた。

あとは、「アウトソーシングによる定型業務の効率化と組織のスリム化」を挙げている企業が71.5%、「雇用の多様化に応じた採用方式の見直し(中途採用、非常用雇用者の拡大値)」を挙げているのが64.1%となっており、その他50〜60%の間(2社に1社の割合)で、「部や課の統廃合によるフラット型組織への移行」、「専門職(スペシャリスト)の育成・専門職制導入」、「教育研修等能力開発の重視」を挙げている。

なお、これらは、バブル崩壊後、日本型経営の問い直しの中で様々に議論されたことであろうが、崩壊後8年近く経った今、まだ、これだけ高い率で回答があったところを見ると、人事制度の改革は遅遅として進んでいないと見るべきなのか。

さらに、重要な改革と思われるものを尋ねたところ、「能力・業績主義の徹底」が76.5%で飛び抜けて高い割合であった。

なお、「その他」としては、「人事部の縮小」、「管理職の複線化」、「自己啓発、自己責任の徹底」等を挙げている企業があった。

ア. 企業規模別〔第78表参照〕

企業規模別にみてみると、いずれの規模においても「能力・業績主義の徹底」が「5千人以上」の100%を筆頭に9割以上の高い割合であり、規模の大小を問わず、人事制度の改革を検討する上での最重要課題であることがわかった。

また、「人事評定システムの改革・見直し」、「アウトソーシングによる定型業務の効率化と組織のスリム化」も各々「千人未満」の65%、58%を最低に7割から8割の高い割合となっていた。

特に重要な改革としては、やはり「能力・業績主義の徹底」で、「千人未満」こそ68%であったが、他の規模では7〜9割と、それぞれ断然突出したものとなった。

 

 

 

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