第1部 調査結果の要約
I 就業・雇用数の動向
1. 常用雇用者数の増減状況
(1) 常用雇用者数の過去1年間の増減状況〔第1図参照〕
過去1年間の常用雇用者数の増減状況をみると、「増やした」と回答した企業の割合は10.4%(昨年調査9.7%)、「減らした」企業は58.6%(同57.5%)、また、「おおむね変わらない」は31.0%(同32.8%)で数字的には昨年の結果と大きな変化はないように見えるが、平成7年以来「減らした」と回答した企業が一貫して5割を超えており、雇用情勢は依然厳しい状況が続いていることを表徴している。
なお、一寸視点を変えて、平成9年の今後の方向(予測)と平成10年の過去1年間の状況(現実)を比較するという見方をしてみると、「減らした」については、49.3%-58.6%=△9.3%、前年は53.1%-57.5%=△4.4%、また、「おおむね変わらない」は42.8%-31.0%=11.8%、前年は40.1%-32.8%=7.3%となり、調査時点前1年間の企業の常用雇用者に対する雇用の対応は、乖離の大きさ、さらに前年との比較(△9.3%と△4.4%、11.8%と7.3%)からみても幅のある流動的な数値をみせており、現実は将来予測以上に相当厳しい減少を余儀無くされたことがうかがえる。
(2) 常用雇用者数の今後の増減方向〔第1図参照〕
今後の増減の方向についての回答をみると今までとは様変りで、「圧縮必要」とする企業が70.3%(昨年調査49.3%)と大幅に増え、「増やす方向」は僅か3.4%(同7.9%)に減り、「変わらない方向」も26.2%(同42.8%)になっている。雇用の先行きについて企業がさらに深刻な見通しを持っているのが分かる。
2. 非常用雇用者数の増減状況
(1) 非常用雇用者数の過去1年間の増減状況〔第2図参照〕
過去、順調に雇用数を伸ばしてきたパートタイマーなどの非常用雇用者にも景気の悪化による陰りが見えてきた。過去1年間に非常用雇用者を「増やした」と回答した企業は22.2%、「減らした」は27.4%となった。昨年の調査では増が29.3%、減が11.9%であったから逆転している。特に、「減らした」の割合が大きく伸びている。また、「おおむね変わらない」も46.3%(昨年調査52.8%)で減っている。