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そこで、これらの位置合わせの方法を、両部材の相対的な取付精度の面から比較してみよう。

端合わせは、端部そのものを合わせるので、誤差は入らない。つまり→0

止まり位置合わせは、止まり位置マーキンされた部材の、その端部に対するマーキン誤差だけが入る。マーキン誤差が±1mmなら、そのまま→±1mm。

合マークは、両部材の、それぞれの端部に対する合マークのマーキン誤差が重なる。

誤差は→±1mm+±1mm=±2mm

そして更に、型定規記入とマーキン記入の手間を考え併せると、必ずしもそれらの方法が並列して選べる訳ではないが、どの方法が優れているか、自明であろう。

まさしく、シンプル・イズ・ベストである。

 

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図2.3.8 不完全スロットの合マーク

 

この組付け位置合わせにおいて、再度強調しておきたいのは、いまなお多くの造船所で目に付く[図1.3.1 基準線記入]にみるような、伝統的な船体基準線合せである。これが上記の比較で劣位にある合マーク相当であることは、すぐ理解できよう。合マークよリタチが悪いことには、基準線マーキンのためだけで、部材の共通性が失われる場合があることも指摘しておきたい。この根強い基準線方式の裏には、造船工作における部材加工精度やブロック組立精度に関する不信感があるように思えてならない。キッチリとモノ作りをやれば、モノ自体が証拠になるというのが近代工学の方向ではないのか。

 

2.3.3 取付度の要否と指示位置/角度表現

取付度は、部材が取付く面と面のなす角度であるが、その角度が直角のときは「取付度ナシ」と呼称する。当然に直交取付は、指示不要の前提となっている。

また、部材の取付が、2つの(一組の)取付線により決まってくる、例えば、皮板上に取付線と、交差する内構に貫通スロット取合いがあるフレームの組付けのような場合、実際に取付度はあるのだが、情報として型定規に指示する必要はない。

取付度の指示は、それがないと現図通りの組付や取付ができないときのみ、必要なのである。

 

 

 

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