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【基準】

 

第10条 公害管理及び公害防止設備

1. 公害管理一般

事業者は、公害を防止するために必要な措置をこうずるとともに国又は地方公共団体が実施する公害の防止に関する施策に協力しなければならない。

(1) 公害管理事項

事業者は、事業場から発生する次の事項を管理する。

ア. 廃棄物焼却炉からのばい煙(すす、NOx、SO2など)。

イ. 空気圧縮機、送風機、集じん機等が発生する騒音

ウ. 事業場敷地境界線におけるスチレン、トルエン等の臭気

エ. 事業場外へ飛散するFRP等の粉じん

オ. 排水

カ. 廃棄物

(2) 公害規制

前項の事項は、それぞれ大気汚染防止法、騒音規制法、悪臭防止法、水質汚濁防止法及び産業廃棄物処理法により、国の規制が定められているが、各都道府県条例等においてその適用地域及び規制値が具体的に定められているので、事業者は、最寄りの市町村に問い合わせて、それぞれの事項について管理する。

(3) 地域住民との協議

法令及び条例に定められていない事項及び規制範囲内数値であっても、地域住民の苦情等が寄せられる場合がありうるので、事業者は、地域住民との協調に十分留意する。

 

【解説】

 

第10条 公害管理及び公害防止設備

1. 公害管理一般

事業者は企業活動が及ぼす環境に対する影響をよく認識して、従業員、近隣住民への直接影響に留意するだけでなく、間接的、長期的に影響を及ぼさないよう常に自発的に環境負荷を低減するよう努めなければならない。

(1) 公害管理事項

事業場から発生するもので近隣への環境への影響を及ぼすものとしては、ボイラー熱源、廃棄物焼却炉から出るばい煙、FRP船の成形時に使用される樹脂中のスチレン、トルエン、酢酸エチル等の臭気、コンプレッサー及び送風機が発生する騒音、振動、サンディング、裁断等により発生する粉じん、油や異物を含む排水、成形材料やFRPの廃棄物等がある。特に公害に関係する法規については遵守しなければならない。

(2) 公害規制

公害対策基本法の要点

ア. 公害とは大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態及び水底の低質が悪化することも含む。)、騒音、振動、地盤の沈下、悪臭によって、人の健康又は生活環境にかかわる被害が生じることをいう。「生活環境」には人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境にも含む。

イ. 事業者は公害防止するために必要な措置を講ずるとともに、国又は地方公共団体が実施する公害防止に関する施策に協力する責務を負う。

a. ばい煙

大気汚染防止法規制対象物質

 

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b. 臭気

「悪臭防止法」の指定物質のうち事業場で使用されるものは、スチレン、トルエン、酢酸エチルなどである。都道府県知事は規制地域における臭気強度を2.5から3.5の間で許容濃度を定める。スチレン濃度は0.4〜2ppm 、トルエンは10〜60ppm 酢酸エチルは3〜20ppmの間で規制される。

c. 粉じん

事業場から発生する公害源として、FRP粉じん、木材粉じん等があげられる。常時大量に粉じんを発生する施設については届出等が必要である。FRP造船所の場合は発生施設ではないと考えられるが、近隣住民、環境に悪影響を与えないようできる限り、粉じんを外部に飛散させないよう努めることが必要である。

d. 騒音

騒音規制

 

地域の規制

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時間帯による基準

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工場の騒音

各都道府県知事は法の定める範囲内で、「騒音を防止することにより、住民の生活環境を保全」す必要があると認められるときは指定地域にすることがで、対象区域、時間帯別に基準地を設けることができる。

騒音が人に及ぼす影響はその程度によって異なるが、一般的にいうと40ホン以上あれば安眠が妨害される。騒音が50〜70ホンぐらいになると血圧が上昇し、消化機能が減退するといわれ、疲労度が大きくなる。

 

 

 

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