日本財団 図書館


ですから、現地にいると、何億ドルだとかというお金が宙に舞って、一般の人たちはどこにそんなお金があるんだと言って、テグシガルパに行けばお金があるというので、テグシに集まって来ているというような冗談まで出てきているぐらいで、そういう状況だったんですが、向こう側の先方政府の期待もものすごく大きくて、ニカラグアなんかは我々レベルの調査団でしたけれども、大統領みずから会見してくれまして、一人一人握手して、記念品までもらって、写真まで撮ってと。このニカラグアのアレマン大統領というのは、なかなか日本人をどうマネージしたらいいかよく知っていまして、実に巧みな人で、我々も感激しちゃったんですけれども、そこまでやってくれるわけです。ニカラグアは大統領、外務大臣、それから個別の協議をやっても、閣僚が直々に出てきて折衝すると、こういう状況でした。

ホンジュラスも外務大臣、国際協力大臣の方で、非常に有能な人がいまして、ここも大変な状況であったと。非常に期待が高くて、新聞記者等も四、五十人集まってきて、連日、報道されるというような状況でした。ホンジュラスはとにかく大変な状況であると。そういう中で、向こう側と話をしたんですけれども、大体、5つの分野なんです。各国共通に欲しがられているのは、道路・橋等のインフラですね。道路・橋がやられちゃっている。インフラがかなり寸断されて被害に遭っている。これを何とかしてくださいと。IDBなんかは道路をかなり目をつけてやっています。それから、次に来るのは、ホンジュラスの場合ですけれども、保健医療なんです。保健医療も通常の案件じゃなくて、緊急の案件になっていまして、彼らが非常に防ぎたいのは、まず伝染病と疫病の蔓延を防ぎたいと。こういう初歩的な状況で、さらに、地方の保健所がかなり壊されていますので、それの再建をしてほしいというような医療保健分野。それから、食糧の確保というのがありまして、ホンジュラスは特にそうなんですが、あそこは米とトウモロコシとフリコールという豆がありまして、これは中南米独特の豆なんですが、その主食であるこの3つの基礎穀物の畑が随分やられちゃっていまして、種がまけないと。刈り取りができないというので、これはなかなか食糧について深刻な危機が出てくる可能性があると。農作物、農業ができないとなると、結局、失業者が増える。失業者が増えると、首都に流れる。首都に流れると、治安が悪化する。首都に流れても職がないと、メキシコとの国境を渡ってアメリカに行く。こういう流れになっちゃうものですから、アメリカがいよいよ10億ドルなんていう数字を出して本腰を入れ出したのは、この辺の危機があるからなんだなというのは、現地に行ってよくわかります。ホンジュラスのUSエイドの人なんかと話してみると、彼らはやはり農村地域に対する開発に力を入れているんですね。何で農村なのかなと思って、やっと最後になってわかったんですけれども、要するに農村の人たちがいっぱい出て来られては困るわけです。不法移民というのはアメリカにとって大変な問題ですから。そうすると、主要幹線道路とか橋なんていうのは、これはIDBとか日本とか、ほかの国でやってくださいと。アメリカは農村のアクセス道路とか、出荷をするようなそういう道路なんかは、アメリカのほうでやりましょうというような形で、自然にそれぞれの得意な分野というようなことで、スペシャリティーが、棲み分けができちゃっているような感じがあるんですね。いずれにしても、アメリカは非常に農村地域の開発、NGOを使った地域住民に密着したような開発に力を入れているというような印象でした。だから、3番目が食糧の確保というようなことでした。

4番目が外貨、BPサポートで、バランス・オブ・ペイメント、外貨の確保ですね。これはあそこのホンジュラスについていえば、バナナとコーヒーとエビ、これで輸出の5割以上ですから、そのうち、バナナは今年は輸出はゼロと言っていました。通常、20%以上の輸出で2億ドルぐらいのお金が入ってくるんですが、これがゼロになっちゃうということで、大変危機的な外貨の不足が出てくると。コーヒーは、コーヒーの栽培の畑自体はあまりやられなかったんですが、アクセス道路がやられちゃったと。アクセス道路がやられているので出荷ができないというようなことで、コーヒーもなかなか輸出できないというようなことで、エビのほうの輸出は、それでも被害はあったようなんで、外貨の不足が大変懸念されるというようなことで、BPサポートをお願いしたいというようなことを言っていまして、さらに、非常に対外債務の支払いが40%と。予算の40%ぐらいは対外債務の支払いだというような話で、これも危機的な話なんで、何とか支持してくださいと。

5番目がビビエンダ、住居ですね。屋根のない家がいっぱいありまして、その屋根をトタンの、エン鉄板と言っていますけれども、そういう屋根をつけてほしいというような話にはじまって、住居関係の破壊されたところを何とかしてほしいと。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION