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第一回 資料

 

ペルー運輸事情

1998.7.10

元在ペルー大 坂井 正博

 

1. 全般

ペルーに於ける運輸交通の中心は、陸上輪送と航空機であるが、主として地形的要因により海岸地帯を除けば、道路の整備状況は総じて悪い。

太平洋に面した海岸地帯と、それに沿って4,000mのアンデスの山々が聳える山岳地帯、さらにはその東側に位置するアマゾンの源流となっている広大な森林地帯と大きく分けて三地区に分かれており、それぞれ聞こう、生活条件が大きく異なり生活のレベルにも大きな差があり、道路交通は数少ない幹線道路により結ばれているに過ぎない。

森林地帯にはアクセス道路の無い都市も見られ、また、山岳地帯へのアクセス道路も整備状況が悪い。

 

2. 道路・自動車輸送

国土全体で見ても、道路総延長73440kmのうち、舗装された道路延長は8,355kmと約11%を占めるに過ぎない。このため、フジモリ政権では、世銀、IDB、日本の円借款等から至近協力を得ながら国道から地方道に至る道路のリハビリを急いでいる。

しかしながら1983年から84年にかけて起きたエルニーニョ現象の影響による、北部海岸地区の大雨による道路の寸断状態が10年以上続いた現状から、昨年の未曾有の規模と云われたエルニーニョ現象による、大雨等の影響により道路整備に対する遅れが懸念される。

また、当国は車検制度が無く、2,000年を目標に車検制度の開始を計画しているが、大多数の車が古い中古車であり、車検制度が発足しても直ちに十分な効果が発揮されるとは考えられず、自動車による輸送能力の飛躍的な向上は難しい。しかしながら長距離貨物トラックについては比較的新しい大型トラックが海岸線のパンアメリカン道を行き来しているのを、見ると大形の資本投資等があれば幹線道路に於ける輸送量の増加が見込まれるが、幹線道路に至る支線道路の整備如何が、これらの問題を飛躍的に増加させる大きな要因となる。

 

3. 空港・航空輸送

航空輸送は首都リマの国内最大のホルヘ・チャベス空港が、南米の玄関に位置する事から、近年ペルーを経由する国際線の発着が顕著であり、国内でも地理的条件を克服する輸送手段として重要視されている。同空港は南米の玄関口で有りながら、その状況は、その規模、設備、アクセス及び立地条件等に於いて、南米のハブ空港としては十分な機能が備わっているとは言い難い。

 

 

 

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