日本財団 図書館


第二部 「ヴィエトナムの運輸事情と国際協力の問題点」

 

【男竹理事】 それでは、第2部を始めたいと思います。

「ヴィエトナムの運輸事情と国際協力の問題点」というテーマで、本年3月まで、在ヴィエトナム日本大使館でご活躍され、本年4月から運輸省の運輸政策局国際業務第2課の総括補佐官をされております池田さんにお話をお伺いしたいと思います。運輸省におかれまして、国際協力の窓口でご活躍でございますので、本来ならばそちらのほうのお話までお聞きしたいところでございますが、時間の関係上、本日はヴィエトナムの運輸事情と国際協力の問題点ということにテーマを若干絞らせていただき、お時間があれば、それ以上の問題についてもお話をお伺いしたいと思っておりますけれども、それでは池田さん、よろしくお願いします

【池田講師】 ただいまご紹介にあずかりました池田でございます。ちょっとかぜをひいているみたいなので、声が若干変なのでございますが、ちょっとご辛抱いただきまして、ご聴講いただければと思います

今、ご紹介にあずかりましたように、3月までヴィエトナムのハノイで3年間勤めてまいりまして、ちょうど今、きょうの昼のニュースを見ていますと、ASEANの首脳会議がハノイで開かれておりまして、私が行ったときは、まだヴィエトナムがASEANにも加盟していないときでございまして、当時と比べると、非常に隔世の感があるなと。ヴィエトナムも偉くなったものだと思っている次第でございます。

タイトルは、今、男竹センター長のほうからいただいた「運輸事情と国際協力の問題点」ということであるんですけれども、実は恥ずかしながら、あまりかっちりとした話ができないわけでして、きょうは、非常に雑駁なお話をしたいと思っております。帰ってきますと、いろいろな機会でヴィエトナムのことを話してくれと言われて、言われるたびに非常に困ってしまうんですけれども、今まで実は2回ほど似たような機会がございまして、毎回少しずつ原稿を書き足していまして、ですから、きょう、何度目かの方がどうもいらっしゃるみたいで非常にお恥ずかしくて、ある部分では非常に共通しておりますので、その辺はご容赦願います。

大概運輸アタッシェとして任国に赴任しますと、大体まずやるのは、運輸統計を調べて、その国の運輸事情はどうなっているか。大体前任がいて、引き継いでくれるんですけどね。私の場合、たまたま初代で行きまして、前任がいなかったものですから、まず運輸統計というものがない。それから、どこかにあるのかなと思って、いろいろあることはあるんですけれども、また怪しげなものがいっぱいあって、何が本当だかよくわからないということで、何となく現地であまり統計をとるという習慣が身につきませんで、あっという間に3年間が過ぎてしまったということなので、あまりきょうは統計めいたものを皆さんにお示しして、ヴィエトナムの運輸事情はこんなパーセンテージでございますということが実は言えないんです。帰ってきて、こういう機会を持たれると非常に恥ずかしい思いを毎回しているという状況でございます。

ただ、私、3年間いまして、大使館の中で経済班に所属して、ODAを担当しろということで、ODAの中で、特に技術協力と、JlCAの開発調査の担当をしてまいりました。また、大使館の世帯は当時は小さかったこともあって、経済班は4人しかいなかったんですね。外務省のヴィエトナム語専門職のプロパーの人が円借款を担当して、通産省のご出身の方が、貿易と租税協定みたいなお話とか、投資の話をしている。それから、農水のアタッシェの方が、無償資金協力をやっている。私が残った開発調査と技術協力をやる。ただ、ヴィエトナムは外務省の不健康度というのがあって、要するにあまり健康でなさそうなところですね。

それは段階がありまして、ゼロから6まで7段階あるんですが、ゼロが一番よくて6が一番低い。内情を申し上げますと、ゼロというのがバンコクとクアラルンプールでございまして、6というのがプノンペンとウランバトール、カンボジアとモンゴルでございます。ヴィエトナムのハノイは何だったかというと5でございまして、下から2番目というところでした。

そんな状況だったものですから、まず、仕事のインフラをつくるということが仕事でありました、大使館も、今は相当立派なのが建ったそうなんですけれども、当時はまず廊下が吹きっさらしで、雨が降ると書類を持って動けない。廊下に1回出ないと、コピーにもファクスにもたどり着けないんですけれども、時々嵐が来ると、部屋にこもってじっとしていないといけない。それから、しょっちゅう停電と断水があって、大使館というのは最も安全なところかと思うと全然そうじゃないんですね。水が枯れるわ、電気はとまるわ、トイレは詰まるわということで、そういう状況でございました。

それから、JlCA事務所がまずなかった。JlCA事務所をまずつくらなきゃいけない。一応、私が赴任して1週間後に、所長と所員が1人ずつやってまいりまして、JlCA事務所をつくり始めたんですが、何しろJlCAの職員の方のビザが切れてしまって、延長してくれと行ったら、おれの担当じゃないんだと言ってどこの役所もとりあってくれない。とうとう所長は、ビザが切れたままずっと不法滞在を長々とし続けて、それを解決するのに2カ月くらいかかった。それから、JlCAの─OECFの所長もそうだったんですが、私も含めて、車の非関税手続ができないということで、港へ行って通関で、一応エグゼクトでや

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION