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第二部 「JlCA開発調査事業の動向と問題点について(運輸分野を中心に)」

 

【男竹理事】 それでは、第2部は、国際協力事業団(JICA)の社会開発調査部 社会開発調査第一課長の貝原さんでございます。「JICA開発調査事業の動向と問題点について(運輸分野を中心に)」をテーマにお話をしていただこうと思います。

それでは、貝原課長、よろしくお願いします。

【貝原講師】 ただいまご紹介にあずかりました、貝原でございます。本日は、皆様お忙しい中、ありがとうございます。本日、海外運輸協力協会さんの会員の皆様、それから運輸省の関係者の皆様、日ごろからJICA事業につきましては、多大なるこ支援をいただいておりまして、まことにありがとうございます。この場をかりて、厚く御礼申し上げたいと思います。

本日は、1時間ばかりということで、レジュメはつくっておりますけれども、必ずしもレジュメには沿わないお話をしたいと思います。5時ぐらいまで話をさせていただきまして、あと10分ぐらい質疑応答ということで、皆様お疲れのところ恐縮でございますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

関発調査事業につきましては、もう皆様ご存じのとおり、今までずっとJICAの場合、予算がウナギ登りで上がってきたところ、今年度になって、初めてマイナスになったということでございまして、これは非常にJICAにとっては、恐ろしいといいますか、今後どうなるんだろうということはございます。それで、今年度の予算ができる昨年の12月ごろは、ODAマイナス10%ということで、これが3年連続であるということですから、マイナス10、マイナス10、マイナス10で、72%、まあ、九掛けになっていくということで、恐ろしいことになるんじゃないかというのがありました。おかげさまで、JICAのほうはマイナス10まではいかなくて、資料にもありますけれども、マイナス1.6%ということでおさまりました。

開発調査につきましては、マイナス3%ということで、額にしては8億円程度減ったということになっております。ただ、これはかなり、実際には円借款との連携D/Dということで、30億円ばかり参りましたので、実際の一般案件から言えば、単純に考えると、38億円、一般案件分が減ったということも言えるかと思います。それで、予算的には250億円前後、大体8億円減りましたけれども、昨年並みということで、私ども社会開発調査部のほうでは、大体例年、200億円ぐらい預かっております。

私の調査一課のほうは、主に道路・交通・運輸関係のインフラ、それから、市場経済化とか、そういったこともやっていますけれども、私の一課だけで大体100億円。あと二課のほうが、主に環境案件とか、水物ですね、上下水道とか、それから地下水。それも大体100億程度ということで、まずは例年並みなんですけれども、ただ、上半期である程度、9月までの実績を出したところ、やっぱり昨年よりは、新規案件の採択の数が若干減っております。

執行率で言うと、開発調査費は、昨年9月までで66%だったのが67%の執行率ということで、JICAの中では非常に執行率がいいと。派遣事業部に至っては、まだ40%しかいっていないとか、いろいろ・・・・・・。皆さんご存じのように、インドネシア関係とか、やっぱり専門家は相当、治安の関係とかで派遣をおくらせているとかということもございまして、派遣関係は非常に悪いということが言えます。

そういった状況の中で、開発調査事業を進めておるわけですけれども、皆様ご存じのように、開発調査というのは、JICAの中では、一応技術協力の中に分類されていますので、この開発調査を実施していく上で、当然、相手方カウンターパートに対して技術移転をするということが入っております。資料の1ぺ一ジに「開発調査の概要」というのがございますけれども、実は、このカウンターパートに対する技術移転は、最近の傾向ですと、日本に呼んで、ほんとうに開発調査の中で技術移転をきちんとできるのかというような議論も出てきております。

と申しますのは、開発調査の場合、相手方カウンターパートを日本に2カ月なり呼んで、相手がほんとうに、需要予測の手法とか、そういったことをほんとうに理解するまでやるかというと、そこまでやっている暇はないというか、調査物によっては、すぐディテルデザイン、円借款に結びたいとか、ほかに世銀の借款に結びたいとかいうのもございます。JICAとしては、必ずしも開発調査事業の中でほんとうに技術移転ということも真剣にやるのかといったときに、二兎を追ってはいけないというか、もうある程度、いついつまでに出してくれというようなことがあった場合は、もう日本にカウンターパートを呼ばなくても、調査期間をなるべく短縮して、タイムリーなアウトプットを出すというようなことも考えております。

ですから、めり張りをつけるというか、その開発調査の相手方の要請、内容に応じて、ほんとうに技術移転型という場合には、カウンターパート1人ぐらいを開発調査で呼んでいるんじゃなくて、もう少し、場合によっては、国別、特設みたいなものを設けるとか、そういったことで、技術移転型開発調査というのと、ほんとうにF/SからD/Dまで入るようなものについては、足の遠い形の開発調査をやるべきではないかというようなことも議論しております。確かに、開発調査事業というのはJICAの技術協力ですから、当然技術移転も含みますけれども、必ずしもそういうことでなく、場合によっては、非常に足の速いことですから、日本に一々呼ばないでやるというようなことも考えております。

 

 

 

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