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【上原講師】 バンコクの都市鉄道プロジェクトは3つありまして、この地下鉄と、それから高架鉄道が2つ。そのうちの1つが、ホープヘルプロジェクトという、ドンムアン空港、現国際空港から市内へ入ってくるプロジェクトで、これは鉄道だけじゃなくて、その上にふたをして、高速道路も完備したものとして予定されました。ゴードン・ウーという香港の財閥、不動産ですね、そちらがやっていたプロジェクトでございますが、1997年の9月に、タイ政府が一方的にホープヘルとの契約を破棄するという表明をいたしまして、一方で10月ぐらいに、ホープヘルのタイの現地法人が撤退をしました。現状は、くいがずっと打ち並べられておりまして、空港をおりられると、何かすごい大きな工事をやっているように見えるのですが、そのままほったらかしの状態になっていると思います。

ちょうど私どもが6月に帰る前に、ことしの4月ぐらいから話をしておりましたのは、そこに新たな鉄道のプロジェクトを引こうと。できれば、JICAベースで技術協力をして、新たなプロジェクトとして仕組みたいという話をしていたのですが、タイ政府としては、それは待てないと。ご承知のとおり、JICAの場合は、1年立って、何か調査があって、その後入ってという形になって、いわゆる大規模プロジェクトとか、政府の緊急プロジェクトには、ちょっとスキーム自体がなかなか合わないんですね。そこで、タイ政府としてはお金を出してもいいし、また、日本政府のほうからお金を出してもらっても構わない。いずれにせよ、日本の大使館の協力のもとで、もう一度見直したいという話があって。結果は見届けておりませんが、今年度の供与計画、円借款の中で、ひとつセクターローンという仕組みをつくって、かなり幅広く、これは何でも、いろんなプロジェクトについては、お金を使っていいですよ、ただ、調査物というか、そういうところに使っていいですよというところで、ポスト・ホープヘルという─それは、タイ政府の担当者がそういうことを言うので、ポスト・ホープヘルとは言わないでくれと、そう言うと、何となく香港のプロジェクトを日本でとった感じになるので、ポスト・ホープヘルじゃないけれども、都市鉄道のフェーズ2というような形で、ホープヘルをどうするかも含めて、そういう調査をやったらどうかということを話しました。

一方、タイ国鉄自体、というか、ホープヘル・プロジェクトは、タイ国鉄との契約でやっていたのですが、タイ国鉄上空に鉄道をつくるというプロジェクトでございます。タイ国鉄としては、あまり都市計画的な位置づけをせずに、ある意味では、お茶を濁すというか、ほんとうに必要なぎりぎりの線でつくってしまえばいいんじゃないか。もっと言えば、モノレールでいいんじゃないかとかですね。私が4月にいたころは、盛んに出入りしていたのはイギリスの大使館で、イギリスのコンサルタント会社が出入りしていたという話でございます。今タイ国鉄にJICAの専門家が行っていますので、JICAの専門家から副総裁に対しては、「そんなことをしたら、100年、あなたは笑われ者になりますよ」と言ったりしているようですけれども、まだ、そこら辺で私の情報は途切れてしまっております。いずれにせよ、ホープヘルとの関係は、もうどうしようもない状態になっております。

【男竹理事】 よろしいでしょうか。ありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。なければ、ちょうど時間になりましたので、上原さんのお話はこれで終わりたいと思います。ほんとうにありがとうございました。

【上原講師】 どうもありがとうございました。

─了─

 

 

 

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