日本財団 図書館


幸運にも、海港整備戦略をはじめとするヴィエトナム運輸開発計画マスタープランの策定について、本年早い時期から日本政府の援助を受けることになっています。したがって、ヴィエトナム運輸インフラ開発計画マスタープランの策定に当たっては、様々な国際機関やコンサルティング会社の支援を受けていること、調査研究をさらに成功させる条件が整うことを嬉しく思います。繰り返しになりますが、我々はヴィエトナムの運輸インフラの整備に関心を持たれるいかなる機関とも協力する意志・用意があります。

 

■ Doan Manh Dung氏(VINALINES主任研究員)

地図をご覧になればおわかりの通り、ヴィエトナムには海岸線に沿って多くの港が点在しています。それでも積み替えはシンガポール、香港や当該地域内の他港経由で行われてきたのが実情です。ここで国際海運ルートに目を向けてみましょう。ロンドンの国際海運に関する投資会議の決定により、1992年以降、船舶の喫水は今後21mとすると定められました。したがって、ヨーロッパからの貨物はシンガポールから香港を経て北アジアヘ、米国向けの場合はシンガポールからグアム、グアムからホノルルを経由しなければなりません。我々は運輸整備の新しい考え方に沿って、次の方法を提案します。ご承知の通り、この国際海運ルートはVan Phongを起点とするので、北部や南部からVan Phongへ輸送すれば、Van Phongから米国への距離は香港やシンガポール経由よりも短くなります。マレーシア北部の貨物も香港経由ではなく、一旦Van Phongに輸送し、そこからヨーロッパヘ送ることも可能です。積み替え港をVan Phongの北へ整備するなら、船舶はダナンを経由しなければなりません。積み替え港を南部のBen Dinh Sao Maiとするなら、航路は三角形を描いてしまいます。積み替え港を北部に整備すれば、南部の輸出業者は影響を受けます。南部に整備すれば、北の業者が影響を受けます。これが、積み替え港の候補地の選定をめぐる一般的な状況です。

次に、今日のセミナーのテーマである東西回廊整備についてお話しましょう。北部からTruong Sonの山脈の南部までのこの部分は最も標高が低くなっています。海抜500m未満であり、3つの川とつながっています。Van Phongからの部分はStrengやラオスのパクセまで鉄道を敷くことが可能です。

現在、鉄道はこの地点からタイ側にしかありませんが、我々には、Ubon PaskeからStrungとガンボディアを経てVan Phongまで4カ国を結ぶ鉄道網を整備するという構想があります。中国で用いられている鉄道の勾配は0.6%から1.2%ですので、ここの地形は鉄道網の整備に適しているといえます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION