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(2) カンボディア代表報告

カンボディア輸送システム

ASEAN貿易政策に参加するための運輸インフラストラクチャー戦略

(講演者)

チュルング・ソク・ターラス

カンボディア公共事業省

インフラ担当次官補佐

運輸エコノミスト(理学士、文学修士、広島大学)

 

1) 概観

輸送システムは、文明社会が混乱から秩序を引き出すために必要とするツールのひとつである。生活が複雑になればなるほど、運輸システムの整備は不可欠なものとなってくる。輸送需要は、実質経済成長率の上昇とともに大きな増加が見込まれ、特にカンボディアの場合は、経済的、社会的インフラストラクチャーの再建とさらなる発展の途上にあり、輸送需要の増加は継続することが予想される。

カンボディアは、約1143万の人口と、181.035平方キロメートルの比較的小さな国土を持っている。その国境は、北西はタイ、北はラオス、東はヴィエトナム社会主義共和国、そして南西はタイ湾に接している。プノンペンが首都であり、主要経済・行政ゾーンと結びついており、隣国とも、道路、鉄道、水路、空路などあらゆる形態の運輸システムによって結びつけられている(参照:図1)。

 

カンボディアの全国連輸システムの開発

カンボディアの運輸システムはASEAN地域の他の国に比べると、引き続いた戦争と非能率な運営のために相対的に貧弱である。国土全体の運輸インフラストラクチャーは甚大な打撃を蒙ってきたのである。また、慢性的な予算不足のため、運輸システムの補修活動はほとんど完全に停止していることが、事情を一層悪化させている。

カンボディアの最も重要な運輸システムは道路である。道路は全国をカバーして、貨物と乗客輸送全体の90%を占めている。カンボディアの道路ネットワークは34,000kmにおよび、首都と各地方を結び付けている。主要国道のうち1,891kmは、アジア・ハイウェイの一部に指定されていて、タイ、ラオス、ヴィエトナムヘの、またシアヌークビル港を通じて世界への主要な出入り口となるものである。

鉄道事業は2線しかなく、北線はプノンペンからタイ国境のポイペトまで、南線はプノンペンとシアヌークビル港とを結んでいる。鉄道によって運ばれる貨物の種類は道路輸送の場合とほぼ同じであり、米、工業製品などである。鉄道が扱っているのは市場商品の20%未満であり、現在のところ国民経済に果たしている役割は小さい。

 

 

 

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