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(FIG.-11)

この上に、示しますのは、ハイドレートのコアで、直径6cmのコアライナーの中に、ぎっしりと氷状のまさに白い塊として入っていました。これは崩れていますけれど、実際は長さが30-40cmありましてそれはムクの氷の塊といった状態です。表面は泥が覆っていますが、これは泥で汚れているのですけれども、中は白い塊。泥の上にプツプツとbubble(気泡)が見えますが、これは船の上に回収して、圧力が低下、温度が上がった為に表面から少しづつ分解が始まってメタンガスが出ているというものです。下のものはそれを凍らせて液体窒素の中に入れて凍らせて、その後の分析にしようとしているサンプルです。

こういったサンプルが、ブレークリッジからたくさん採れました。沢山採れて、それはBSRが示すように、そのハイドレート安定帯から沢山分布しているという事が分かったのです。

 

(FIG.-9)

これは、掘削した後のボーリングの孔を使ってロギングと言う手法で、地層の様子を調べる訳ですけれども、左に示しましたのが電気抵抗で、これは普通堆積物には塩水が入っている、間隙水は塩水ですが、そういう場合には、ほぼこういうトレンドでもって、だんだん下に向かうに従って大きくなる。又こういうトレンドを示すのですが、この190m位から140数m、この当たり迄は時々大きなアノーマリー(異常な)のスパイクを含めて全体的に電気抵抗の高い異常を示しています。で、この様な異常はvelocity(速度)に於ても同じように見つかっています。こういうスパイク状に入って来る強いアノーマリーの所では実際に塊のハイドレートが回収されている訳です。

一方、右に示しますのはこれは水の塩素濃度でありまして、塩素濃度の異常から、やはりハイドレートの量の存在を確認することが出来る訳です。こういうデータを沢山集める事によって堆積物の中にどれ位の量のハイドレートが存在するのかという、volume estimate(量的推定)、ガスのvolume estimate(量的推定)、あるいはハイドレート量のestimate(推定)が出来る訳です。そういう意味で、LEG.164は最初にそういう事が出来る情報を我々に提供してくれた、という点で、大変画期的な成果が上がっています。

 

(FIG.-12)及び(FIG.-13)

こういった努力によってこれまで世界中のcontinental margin(大陸縁辺部)、あるいは島弧の周辺の堆積物からガスハイドレートが報告されています。この中には実際にこれに示します様に、世界中の周辺、大平洋、大西洋のcontinental margin(大陸縁辺部)、slope(大陸斜面)、continental rise、から見つかっていますが、実際にサンプルが回収されたものもありますし、あるいはBSRが有るという間接的な証拠をも含めていますが。

これはもう5-6年前のデータなんですが、最近ではさらにデータがどんどん増えていって、南半球、マダガスカル、南アメリカ、南アフリカ周辺であるとか、あるいは南シナ海とか、あるいはインドの周辺、オマーンの周辺という所から次々にBSRの発見が報告されるようになって、大陸棚(シェルフ・スロープ)の堆積物が先ず、ハイドレートを持っているという風に言ってもいい位です。まだ確かなデータは無いのですけれども、こういうデータを統合して、今の所のbest estimateとしては、1万ギガトン程度、ハイドレートの量として、およそ1万ギガトン、1019グラム、カーボン量として1019gram、ぐらいのメタンが海底堆積物中にトラップ(取り込まれている)されていると言う事が見積れる訳です。それはどれ位かと言いますと、これは例えば大気の炭酸ガスが、どれ位かと言いますと、高々650ギガトン程度でありますからこの20倍位の炭素がハイドレートとして固定されている、と言われています。

海洋に溶けているのが3万か4万、その1/3位に相当する量がハイドレートとして固定されているという事が言える訳です。しかも重要なことは、これだけ大量のハイドレートがわずかの温度、圧力の変化によって、非常に敏感に壊れるという事です。

 

 

 

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