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(FIG.‐7)

それでハイドレートを含有する堆積物をどのようにして探すのか、どうやって見つけ出すのか、という事をお話しますが、これはハイドレートは個体の氷ですから堆積物中では堆積物の粒子をセメントしている訳です。固結して固めている。従ってそういう堆積物は音の伝搬速度がそうではない場合と較べますと、はるかに速い訳です。

それから、又ハイドレートは氷ですから氷が塩水である所の間隙水をひかえる訳です。従って電気抵抗値は大きくなる訳です。で、これに対してその境界面より下、ここで示します様な海底下600mより下ではフリーガスが存在する可能性がありまして、フリーガスが存在しないにしても、こういう所では密度が小さく、音の伝搬速度もそれより上よりは小さく、遅く、且つ電気抵抗は小さくなるという事になります。こういった物性の違い、その境界面を挟んだ物性の違いによって、この面で非常に強いリフレクター、反射面が現れると言う事が分かっています。

で、地震探査によって、その境界面を発見する事によってガスハイドレートが、どの海域にどれ位の広がりを持って分布しているか、という事を知ることが出来る訳です。

つまり、固いハイドレート層と、水やガスを含んだフリーガス層、その境界面を発見すると言うのが、ガスハイドレート含有層の探査の一番有効なやり方であります。この反射面の事を海底疑似反射面Bottom Simulating RefrectorといってBSRと言う訳で、BSRを海底下で探すことがハイドレート発見の第一歩と言う事になる訳です。

 

ここに示しましたのは、最近得られました南海トラフのSeismic Profileの一部でありますけれども、BSRという所に赤い線が引いてありますが、これは水深約950mの所で海底下約300m位に非常に明瞭なBSRが現れています。赤い線は出現していませんが、右の半分の方にもBSRは追跡する事が出来ます。こうしてBSRより上には、ハイドレートが有るという事。それから、それより下にはフリーガスがあるに違いないと言う事が期待される訳です。

 

(FIG.-8)

ここにお示ししたのはやはりSeismic Profileで、ブレークリッジというLEG 164、1995年の冬に、我々が初めてガスハイドレートを掘ろうという事を主目的にして、掘削された最初のODP航海ですが このsiteのseismic profileです。そこで、このラインのこのreflectorがBSRでありまして、BSRより上ではreflectorが非常に弱くなって、その下では非常に強くなる。ここはgas charged sediment ここはハイドレートに拠ってかなりの程度、固結された堆積物と言う風に考えられる。ここ迄ハイドレートが有って、ここがハイドレートゾーンと言う事になる訳です。で、丁度この深度が、この図で示しましたこのベースに当たる訳です。この様にしてreflectorがハイドレート起源であるかどうかを検証する事が出来る訳です。

 

(FIG.-10)

で、今この様にしてハイドレートがどこに有るのか、と言う事はgeo-physicalなexplation(探査)によって分かるのですが、実際どれだけのハイドレートがあるのか? どういう風に産するのか? どういう大きさのものが有るのか? と言う事を知るにはそれはやはり最後には掘削をしてサンプルを採らなければいけない訳です。

そういう目的でLEG.164が行われたのですが、この図に示しましたのは LEG.164 Gas-Hydrate drillingこのグレークリッジはガスハイドレートがODPに、はじめに疑われたと言いますか、指摘された場所で、これはDSDPのLEG.11 1972年で殆ど最初の頃にブクークアウターリッジで掘削されて、そこで最初にLancelot博士等によって指摘されたんですが、ここはそのハイドレートを掘るために計画されて3度目の航海な訳です。3度目にして初めてハイドレートの分布や量についてのconstraintを得ることが出来たのです。

 

 

 

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