(FIG.‐25)
そうすると、過去の気候環境変動を研究する我々としての今後の課題と言うのは、
1. 過去の間氷期に於ける、現在よりも、もう一段暖かい気候モードというのが本当に存在したのかどうか、これをより確実に検証する必要があるということ。
2. もし、その様な暖かいモードが存在した場合には、その時に地球全体がどうなっていたのかを、面的に復元して具体的にその状況を復元する必要がある。
3. その暖かい気候モードが存在したとして、それと現在のモードとの間のジャンプというのが繰り返されたのか、それとも一回暖かくなればそのまま割と安定していたのか、そういう気候変動の検証が必要です。
4. 最終的には、気候モード・ジャンプという言葉をここでは使っていますが、それのメカニズムを明らかにして行く必要があります。
(FIG.-26)
では、こう言った研究と深海掘削がどう関係するかと言えば
1. ひとつは最終間氷期、もしくはそれよりも前の間氷期の記録を連続的に高時間解像度で復元する必要がある訳ですが、それにはより深い深度―ピストンコアでは届かない深い深度での掘削が必要になる。
2. それから、そう言った研究地点をglobalに面的に拡げる必要がある。
3. さらに、深層水構造を復元すると言う意味で様々な水深で掘削をする必要がある。
4. それから、特に重要なのは氷床とのcouplingと言う事でありましたから、高緯度域での掘削、これが重要になって来ます。
5. 特に高緯度域でそうですが、その場合には粗粒な堆積物ですね、それをいっしょにきれいに回収しなければならない、現在のAPCというODPで採用されているテクニックだと粗粒な堆積層があると、そこで回収率がガクンと落ちてしまう訳です。そういうことを防ぐ必要がある。そういう意味で回収率を上げるという必要がある訳ですね。
こういった意味で深海掘削と、ここでお話したそうした古気候の研究というのは非常に密接に関係してくる。(以上で、お話を終わります、ありがとうございました。)
もし、ご質問があればどうぞ
Q、海洋センターの西村
先程、一段暖かいモードがあるというお話だったのですが、その暖かくなる原因というのが、例えば海洋大循環が停止すると急に寒くなると言うのは、何となく分かるのですが、急に暖かくなる原因というのがどう言うものなのかサッパリ分からなくて、暖かくなった結果、氷床が崩壊するとか、海面が上がるとかは分かるんですが、急に暖かくなる原因として、どんなものが考えられるか、とういうのが、一つと、もう一つは、間氷期、後氷期で、一段と暖かくなるモードもあれば低いモードに行く事もあるのか、という2点をお聞きします。