日本財団 図書館


Background

BOPコントロールシステムは、技術の進歩とコントロールシステムの能力向上に対する需要により変化してきた。

新しい大水深用BOPシステムは、旧来のコントロールシステムの能力を超える、より多くのファンクションと監視能力を持っている。

新しいMUXコントロールシステムはソフトウェアで動く、コンピュータベースのネットワークシステムである。新しいMUXコントロールシステムの操作、維持管理、トラブルシューティングは、旧来のコントロールシステムとは非常に異なったものとなっている。

BOPスタックに搭載される機器が発達したことにより油圧回路も旧来とは異なるものとなった。一例としてウェルヘッドコネクターがある。以前は「ロック」ファンクションと「主・副アンロック」を一つのラインで行うファンクションの、2つのファンクションであった。現在は、同じウェルヘッドコネクターでも「ロック」、「アンロック」、「副アンロック」、「ガスケットリリース」及び「作動確認ピン(nudge pin)」の5つファンクションがある。

以前のコントロールシステムでの操作から得られた知見に基づき、計画外のLMRPのディスコネクトのような事態のためにサブシーコントロールポッドに追加油圧ロジックが付加された。

BOPとコントロールシステムが環境と人員の安全のために重要であることから、システムのファンクションに対する高い信頼性が重要である。これらのシステムに対する重要性の認識は、ウェルコントロール機器に関連する仕様の基準や推奨事項に反映されている(文献1、2)。NPDも暴噴の純然たるリスク(BOPの故障)の可能性の定量的評価を要求する規則(文献3)を持っている。

新しいコントロールシステムに関連する機器は既存の機器とは大きく異なるため、作業データや維持管理記録はシステムの全体の信頼性を評価するために適用できるものであるとは限らない。フォールトツリーモデル技法を用いた信頼性研究は、構成要素とシステムの試験に加え、システムが公表されている機能を達成することを確認するための事前定性化の一部に含まれる。新しいMUXのBOPコントロールシステムは電気機器、電子機器、ソフトウェア及び油圧関連機器を統合した組合せであることから、システムの個々の要素のみならず、全体システム及び相互関係を考慮した信頼性評価が重要である。

EQE社はTransocean Offshore社と掘削船Discoverer Seven Seas用に提案されたBOPシステムの設計監査を実施する契約を結んだ。このBOP設計監査は、システムの各部分に対して開発されたフォールトツリーモデルを使用することでBOPおよびコントロールシステムの設計に対するQRAを実施することでなされた。評価結果は、もしそれらが発生した場合にはBOPが必要な機能を果たさなくなるような機器故障、誤操作、環境状態の組合せの確認であった。これらの組合せのそれぞれは“cutset”と呼ばれ、各cutsetは望まないBOPの故障状態につながる故障のグループの最小単位を表している。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION