日本財団 図書館


オペレータが何が長期的に必要なのかについて精通するようになり、また、リグ設計者がこの新しいマーケットにおいてどのようにすれば全体的な掘削能力を最大限に増強することができるかについて分かるようになるに従って、超深海移動式海洋掘削船(UDWMODU:Ultra-Deep Water Mobile Offshore Drilling Unit)の設計開発が急速に進んできている。

現在超深海で掘削可能な船舶は3隻だけであるが、表-1に示すとおり、全世界的なUDWMODU船隊は直ぐに25隻になるであろう。これらの船舶は2000年までに操業にはいるか、又は引渡に近い状態になる計画である。UDWMODU船隊は、船型とセミサブ型の掘削船の新造又は改造の混成部隊になるであろう。直ぐにも運用される25隻のうち、11隻は現存船が改造され、14隻は新設計・建造される。新設計・建造される掘削船は、超深海掘削用として船形、配置及び能力を最大限に活かすことを考慮されているが、改造船は、製造原価がより安く、引渡しがより早いことが魅力的であり、性能を最大限にできるように現存の船体形状を基に設計される。

 

3. 船体形状別の開発動向の考察

この新しい掘削船隊によって試掘されるであろう超深海域は、全く異なる技術的要件と環境条件を持つ3つの大きなカテゴリーに分けることができる。25隻のUDWMODUのうち、15隻はメキシコ湾で、8隻は西アフリカかブラジルで、2隻は北海海域で操業する予定である。

メキシコ湾超深海域では、11隻の船型及び4隻のセミサブ型のUDWMODUにより最も活発に操業されるであろう。事前の評判とは逆に、メキシコ湾における超深海掘削は、強いループ状の海流(loop current)、過剰圧、サイクロンに遭遇し、また、高速の海面近くの海流(slab current)、逆流(reversing current)にも遭遇するものと考えられる。

ブラジルと西アフリカは、5隻の船型及び3隻のセミサブ型の新造UDWMODUによる二番目に大きな操業海域となるであろう。この海域は最も穏やかな環境であるが、中波高長周期の単一方向からのうねりを受けることとなる。インドネシア海域のようなその他の赤道に近い多くの超深海域はこのグループに含まれる。

1隻のセミサブ型と1隻の船型の新造UDWMODUが北海の不良環境において操業するために契約されている。これらの不良環境状態での操業にかかる多額の費用と技術的困難さは、現在までこの深海域における操業を最小限にしてきた。現在まで掘削された油井は、この種の操業が可能な数少ない現存の第4世代のセミサブ型掘削船によって行われてきた。優れた大排水量の第5世代セミサブの設計は可能であるが、これらはまた、300百万米ドルをかなり超える初期投資が必要であり、営利上の魅力がない。その他の穏やかな(moderate to mild)環境の海域での操業のために最近開発されている費用対効果が高くて技術的に進歩した設計は、この海域での操業にも適用可能に思えるが、現在までその開発を求めるような需要はない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION