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3.1 超深海位置保持

特殊な掘削用の船舶の形式の選択に影響を与える技術的変数の一つは、位置保持の方法である。位置保持設備の選択に関わる変数には、位置保持能力の喪失、他の固定構造物への接近、海底に設置された設備の複雑さ、隣接する係留システムに関わるために必要となる費用、及び係留の設置と回収にかかる費用が含まれる。これらの変数は現在のところ、超深海試掘プログラムに殆ど関係しないが、深海係留システムの設置・回収のための費用は増加し続けている。その結果、UDWMODUの大多数は、DPS(dyanamic positioning system)を装備している。

UDWMODU船隊には2つの方法の位置保持が据え付けられているが、生産用施設のために試験された数システムは、将来の掘削用施設にも妥当であるように思える。DPは目下、位置保持の最も容認された方法であり、建造中のMODUの大多数において使用されている。現在のところ、DP船の位置保持能力喪失の最も一般的な原因は、自然環境影響によるものではなく装置の故障によるものである。この設備の信頼性は増加してきているが、ヒューマン・エラーの全てを除去することはできない。DPオペレータのための広範な訓練がヒューマン・エラーのリスクを最小限にするために行われているが、現在の新造の位置保持・運用の信頼性は、数年以上もの間十分には確立されていない。もし、この業界が繁盛し、位置保持能力の喪失による事故頻度が減少し続けるならば、この方法の位置保持は、深海及び超深海での操業において支配的であり続けるかもしれない。

長さ4,500mを超えるワイヤと600mの比較的短いチェーンからなるチェーン・ワイヤによる係留システムは、多くの超深海域における従来型排水量クラスのセミサブには優れた位置保持能力を提供することができる。例として、新造のセミサブ「RBS6」に据え付けられている。このシステムは、スラスタ・アシストにより補足することで、操業可能の環境条件を増大し、又は二次的な船体移動を防止すること(スラスタ動力によりチェーン・ワイヤの位置保持力を軽減すること?)ができる。

進歩した係留システムの最近の調査では、サクション・パイル又はバーチカル・アップリフト・アンカーに結合されたトート・レグ係留は、MODU用に適していることが示されているようである。トート・レグ・システムは、従来型のワイヤ又は合成ロープのどちらかを利用することができる。この係留システムのアキレス腱は、システムの設置にあるが、配置技術が完成していることから、近い将来において新しい設計に組み込まれるかもしれない。また、スラスタ・アシスト・トート・レグ又はハイブリッドDP-4ライン係留アシストは、近い将来の採用に妥当であるように思える。

 

3.2 大型船型船舶

大排水量のDP船型設計は明らかに、現在の建造・改造される船舶の比率において支配的である。大型船型UDWMODUは、排水量約100,000MTに相当する長さ約250mの船舶になる。現在、数例の建造又は改造には、多種多様な装備とユニークな掘削システムが含まれている。

 

 

 

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