日本財団 図書館


?-3 ベトナムの造船産業

 ベトナムの造船業はほぼ全面的に二つの官庁、すなわち国防省と水産省の監督下にあり、さらに国営企業ヴィナシンも関与している。

・国防省は国内で最も技術水準の高い、11の造船所を運営している。国防省の造船所が建造する船舶は艦艇のみに限られているわけではない。時に民間の漁業会社や石油会社向けの船舶の新造や修繕を行ったり、水産省向けの哨戒艇を建造することもある。

・水産省は6造船所を運営しているが、いずれも小型の木製またはガラス繊維製のトロール漁船のみを建造し、能力はごく小さい。

・ベトナム造船産業公社(ヴィナシン)は国内造船業を発展させる任務を負った国営企業で、造船部門のリーダーであり、18造船所と海運関連企業4社を傘下に収めている。ヴィナシンは海外のパートナーと手を組んで造船施設を高度化する計画を進めているが、すでに海運関連プロジェクトで外国企業5社と提携している。
1998年現在、ベトナムは約60ヵ所の造船所を保有している―添付資料参照。その大半は小規模な、効率の低い造船所で、大抵は木造漁船を建造している。現在ベトナムで建造可能な最大船型は6,000DWT、約5,500DTである。主要造船所は以下の通り。

 

第1表 1998年現在、ベトナム国内の主要造船所

上記の表に掲げた造船所は、バソン造船所とX-50を例外として、他はすべてヴィナシンに所属している。
 西暦2000年に向けてのヴィナシンの目標は以下の通り。

・15,000名の直接雇用を創出する。

・400,000DWTまでの船舶が修繕できるまでに能力を高める。

・30,000DWTまでの船舶が建造できるまでに能力を高める。

・国内の運輸・漁業・防衛部門の新造需要に概ね対応できるまでに能力を拡充する。

・輸出船建造能力を確保する。

 これらの目標のうち一つは確実に達成可能である。1999年に韓国の現代重工業とヴィナシンとの合弁による造船所が開設されれば、わが国でも400,000DWTまでの船舶が修繕可能となる。

 

 

前ページ    目次へ    次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION