日本財団 図書館


ニュージーランド

ニュージーランド造船業

 ニュージーランドは、輸出では価額の約85%、数量の99%以上、また輸入では価額の約75%、数量の99%以上を海上輸送に依存している。この事実と、そして自国の主要な市場と地理的に離れた位置にあることから、ニュージーランドにとって効率的かつ価格競争力のある国際海運業の重要性は明らかである。
 ニュージーランドの海運政策は、船舶の運航よりも船舶の利用に重点を置く方が国益に適っているという認識から、自国の輸出産業等が、船社の選択で制約を加えられず、かつ船社間の健全な競争から利益を得られるように図ることを目標としている。
 こういう事情から、ニュージーランドの造船業は非常に小規模であり、レジャー用船艇や漁船の建造を中心としている。より大規模な船舶を対象とする事業も存在するが、これは新造船よりも主として船舶の整備・修繕に携わる企業である。造船業に対する政府の投融資は皆無で、また特に造船政策というべきものもない。政府は造船業に対していかなる奨励策、助成策も講じていないが、これは経済政策全般で一貫した原則である。

 

 

フィリピン

フィリピン造船業

? 序論

 島国であるフィリピンは、貿易と経済のために海事産業に大きく依存している。海上輸送は以前から、国内の旅客・物資の輸送の最も重要な方法である。全国の主要な商業・貿易中心地を起点、目的地とする貨物とサービスの総輸送量の約95%が、海上輸送によるものと推計されている。最近の統計によると、フィリピンの内航船隊は総トン数1,095,138、6,505隻から成る。その約94%は500GRT以下の船舶で、500GRT超の船舶は412隻に過ぎない。隻数で最大のグループは漁船であるが、総トン数では14%を占めるに過ぎない。一方、国内の輸送用船舶は総計トン数で全体の86%を占め、隻数は2,946である。内航船隊とは別に、フィリピンは322隻の外航船を保有し、その総トン数は6,525,862.11GRTに上る。
 貿易量と保有隻数を考えると、フィリピンは海運業を支える、強力で十分に発達した新造船・修繕船産業を維持しなければならない。さらに、国内海運業における規制緩和の結果、海運活動の拡大という事態が現出し、それが国内の新造船・修繕船の能力に対する需要を増大させている。新造船・修繕船産業の役割は、海運業界が比較的低コストで、輸入船と同等の品質の国内建造船を調達できるようにすることにある。

 

 

前ページ    目次へ    次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION