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5.海運業の発達は新造船および修繕船産業の成長、サービスおよび保守能力と密接に関連し合っている。それは経済の発展、雇用の創出、関連産業の発達にとってきわめて重要である。1991年7月以降政府が採用してきた経済自由化政策に沿って、造船業は免許不要となり、軍艦の建造だけが政府の専管とされているが、その他は船型の大小を問わず民間企業に開放されている。1万DWT以下の自航船、トロール漁船建造および舶用関連機器帯製造のために外国から技術導入あるいは51%出資を受け入れることは、所定の手続きを経て自動的に承認されるようになった。
公有企業には大手4ヵ所、中堅3ヵ所の造船所があり、他方民間部門には約20の造船所がある。2大造船所、すなわちビシャカパトナム所在のHindustan Shipyard Ltd.とコーチン所在のCochin Shipyard Ltd.には、それぞれ45,000DWT、86,000DWTまでの船舶を建造する能力がある。

 

6.Hindustan Shipyard Ltd.(HSL)所在地ビシャカパトナム

HSLは1941年に民間企業として発足したが1952年1月に政府に買収された。授権資本は100クローレ(1クローレ=10万ルピー)、払込済資本金は90.81クローレ。本造船所の改良のために政府が行った投資は1998年3月末までに175.63クローレに達している。
本造船所の主要な事業所は以下の通り。

1)新造船

造船設備は建造用ドック1基、船台3基、係船岸壁、設備の整った各種内業工場、すぐれたインフラ設備等。現在の能力は21,500DWT級パイオニア型船舶3.5隻。HSLはこれまでに外航船、客船、調査船、艦艇、タグボート、その他の小型艇等、111隻を建造、引き渡している。特筆すべき実績として、同社はONGC(石油天然ガス委員会)向けに高度技術を駆使した掘削船を建造したが、これはこの種の船ではインドで最初のものであった。

2)修繕船

修繕設備は1971年に増設された。この修繕船工場は艦艇、商船、浚渫船、タグボート、それに潜水艦の修繕も手がけている。設備としては近代的なインフラ設備に支えられた新式の乾ドックがあり、70,000DWTまでのあらゆる種類の船舶の修繕が可能である。

3)オフショア・プラットフォーム

オフショア・プラットフォーム建造設備は1985年に増設された。この工場では高度技術を駆使した各種のプラットフォーム11基をONGCのために建造、据付け、引渡しを行っている。1995年3月に最後のプラットフォームを引き渡した後、HSLの手持工事はなくなったが、ヤードの能力は造船部門の増強に利用されている。

4)産業用構造物
HSLは広範囲にわたる大型産業用構造物をターンキー方式で建造している。
HSLは下記の工事に特化してきた。

(i)インド国鉄向け橋桁の製作。

(?)製鉄、その他の産業用の構造物の製作。

HSLは1996年11月、ロイズ船級協会より、50,000DWT以下の船舶の設計および建造についてISO9001の品質認定を与えられた。産業プラント・橋梁・桁用の支持構造を顧客の設計にしたがって製作。

 

 

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