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ドイツに学べ

スポーツクラブ先進国

byアクセル・ベッカー

第3回スポーツクラブと経営感覚

『このコーナーは、福島大学の黒須充助教授にコーディネートしていただいています。』

 

利益を追求する企業と非営利的な団体であるスポーツクラブとは、第一印象で判断するよりも、多くの共通点を有しています。商業スポーツ施設の進出や人々の価値観およびライフスタイルの変化に伴い、スポーツクラブは今、変革を求められており、企業と同様に競争原理に基づいた経営感覚が不可欠の時代を迎えています。ただし、ドイツの現状を報告すれば、多くの小規模なスポーツクラブでは、この見方を受け入れようとせず、いまだ旧態依然の体制のまま、限定された会員間の互助グループといった感覚から抜け出せずにいます。

もし、誰かがこうした時代の変化にさえ気づけば、身近な企業にならって、スポーツクラブを運営しようと考えるのは当然のことと思われます。しかし、必ずしも企業のマネジメントやマーケティング手法を模倣することでうまくいくとは限りません。なぜなら、ほとんどのクラブは、無給のボランティアを中心に、限られた時間の中で運営が行われているのが実情だからです。

今回は、こうした様々な制約の中で、「成功するためのスポーツクラブのマネジメント」について、いくつかの視点から提案してみたいと思います。

 

目標設定の具体化

 

企業や競技スポーツにおける目標は、「利益」または「リーグ優勝」など、比較的容易に定めることができますが、市民スポーツにおける目標を的確に表現することは、とても困難です。繰り返し唱えられている健康、楽しみ、社交、コミュニティの形成、あるいはほとんどのクラブの規約に明記されている「生涯スポーツの振興」といった目標は、具体性に欠けています。市民にスポーツが浸透しているかどうかを測るのに、何をもってその目標を達成したといえるのか、具体的な目標および達成審査基準を明確に示さなければ、それを受けて措置を講ずるといった具体的施策に結びつきません。この目標設定と実践の循環システムを確立することが、多くのクラブにとって課題となっています。

 

財政基盤の確立

 

税法、保険に加え、市町村における補助金の問題は複雑化する一方であり、真にエキスパートの知識が求められています。この場合、本職における経験が生かせる職員を従事させたスポーツクラブは有利といえます。たとえ、いいアイデア・プランがあったとしても、資金がなくては実行に移すことは困難です。確かな財政基盤を築くこと、これがスポーツクラブの運営を支える前提条件であることは言うまでもありません。

 

渉外部門の強化

 

所轄となる行政機関を説得することも重要です。もし、個々のクラブでの対応が難しいようであれば、むしろ声を合わせて訴えるなど、連盟に属する全てのスポーツクラブの協力と連携が必要です。また、クラブの財政基盤を安定させるためにも、スポンサーの獲得という「渉外」行動が重要な役割を果たすようになってきました。

 

広報の役割

 

各年代のニーズにあったイベントの紹介や、最新の情報を定期的に提供することが、会員のクラブライフの充実や新規会員の獲得につながります。また、こうした積極的な広報活動は、潜在的なスポンサーに対して、クラブに対する関心を喚起する役割をも果たすことになります。

 

適材適所の人事計画

 

スポーツクラブの長期にわたる成功には的確な人事計画が不可欠です。これには適切な役職を設けたうえで、役割の明示と任務・責任の分担、さらには充分な専門教育と高度な人材育成といった未来に向けたスタンスが要求されます。目標設定、財務、渉外、広報、いずれも有能な人材が確保できるかどうかが成功の鍵を握っています。

現実には、専任のスタッフに恵まれ、財政・広報部門が磐石で、あまり労せずにスポンサーを獲得できるようなクラブは少数であり、むしろ、一人で何役もこなさなければならないようなクラブの方が一般的といえます。しかし、その家族的なメンバー構成を活かし、クラブ運営に参画することが「負担」ではなく、むしろ「楽しみ」として感じられるような雰囲気づくりの中で役割意識を持たせることが重要なのではないでしょうか。他のクラブにはない独自性を打ち出すには、古い殻を破り、新しいものを取り入れていくといった経営感覚を持つことが求められています。

「競い合いがクラブの質を高める」ことを忘れてはなりません。

 

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1955年ベルリン生まれ。ケルン体育大学卒業後、クライスノイス・スポーツ文化局に勤務。

 

こまつなおゆきの「元気の作り方」講座 ●第5回

 

元気の素を食べる・ヤル気の素を飲む!

 

食事をすれば誰でも元気が出ます。食べ物はすべて元気の素。

ダイエットと称して食べる量を減らしたり抜いたりすれば、元気もヤル気も低下してしまいますよ。

 

ドリンク剤が効く理由

 

疲れたときや風邪気味のときに「ドリンク剤」を飲む人は多いようですが、何か特別な「元気の素」が入ってるんでしようか?ラベルにはいろんな成分が書かれています。まず、ビタミンやアミノ酸系の成分。なかでも、ビタミンB群やアルギニンなどのアミノ酸は、活動のエネルギーを作り出す助けをしますから、セールスポイントにはなりやすい。

漢方の生薬が離合されたドリンク剤もあります。最もポピュラーなのは朝鮮人参でしょうか。漢方の場合は成分が複雑ですし、人によって合う、合わないがありますから、いろいろ試してみるしかなさそうです。

もう一つは、イメージ系とでもいいましょうか。スッポン、まむし、深海鮫やオットセイ、ワニ、などなど。強壮剤として、いかにも精力がつきそうなイメージを売り物にしているもの。これらは、なんという成分が効くのかという証明に乏しいんですが、だからこそ神秘的で効きそう……という意見もあります。

以上の3つは即効性がありません。でも、なかには飲んですぐに疲労が回復し、なんだか元気が出てくるようなドリンク剤がありますね。それは、アルコールとカフェインのせいです。

ご存じのようにアルコールは血管を拡張させますから、からだが温まって血行もよくなって、元気が出ます。ついでに、ガラナエキスという成分もよく見かけますが、これも血管拡張作用と、わずかに興奮作用もあります。そして、カフェインといえば覚醒作用です。コーヒーを飲めば頭がスッキリしてくるのも頷けます。

即効性といえば、やはり糖分。ドリンク剤にも当然入ってます。われわれの頭脳の唯一のエネルギー源は糖分ですから、血糖が減っている時に補給すれば元気もヤル気もアップします。

ヤル気関連で、他にも有望な成分を含むものを捜してみました。

 

【魚介類】

ヤル気を盛り上げるのは、私たちの脳のなかにある「A10神経」と呼ばれる神経の束です。A10神経が働くときには「ドーパミン」という神経伝達物質が分泌されます。このドーパミンの量がどのくらいかということが、A10神経の働き加減を決めているので、いわばドーパミンは精神的なエネルギーの素だといってもいいでしょう。で、ドーパミンはチロシンという必須アミノ酸からつくられます。このチロシンをたっぷり含んでいるのが、貝類やカニ、エビの甲殻類、そして魚です。魚にはDHA(ドコサヘキサエン酸)という脂肪酸も含まれています。DHAは脳のなかで、神経細胞の接続部分の膜を柔らかくして、情報伝達を良くする働きがあると考えられています。残業食はお寿司ですね。

 

【チョコレート】

テオプロミンという成分にヤル気をもり立てる作用あり。しかもジワジワと穏やかに効いてくるので受験生にはもってこいかも。チョコレートには流動性をよくするために大豆レシチンが加えられていますが、その成分であるリン脂質は神経伝達物質であるアセチルコリンの材料になります。

 

【内、大豆、卵、牛レバー】

レシチンがたくさん含まれてます。枝豆やピーナッツにも豊富です。もっとたくさん含んでいるのは麦芽です。麦芽を発酵させたものは……おお、ビールではありませんか! まあ、なんて幸せなことでしょうか。ビールに枝豆、ピーナッツが脳の回路のつながりを良好にしてくれるなんて。

あなたの元気とヤル気のために……乾杯!

 

小松直行

1960年横浜市長者町生まれ。筑波大学体育専門学校卒。東京大学大学院教育研究可体育学専攻修士課程修了、同博士課程中退。資生堂研究員を経て95年より日本女子体育大学講師。著書に『身体教育の社会学(高文堂)』『暮らしのウエルネス事典(求龍堂)』『ウエルネス・ウォーキング(求龍堂)』など。

 

SST・TOPICS

http://www.ssf.or.jp/

E-mail:info@ssf.or.jp

 

「クラブネッツ」セミナー開催のお知らせ

 

本紙で好評連載中の「ドイツに学べ」のコーディネーター・黒須充氏が代表を務め、全国100ヶ所に総合型地域スポーツクラブの設立を目的とする「クラブネッツ」(現在、経済企画庁にNPO申請中)が、5月15日(土)、16日(日)に東京でセミナーを開催しますと文部省の担当官や、日本各地のスポーツクラブ運営に携わっている専門家をパネリストとして招き、スポーツクラブの運営・管理に関する問題点、設立までの苦労話、NPOやPFIの最新動向を討論する予定です。場所は東車郡渋谷区の国立オリンピック記念青少年センター。参加費は3000円。

問い合わせ:クラブネッツ代表

福島大学教育学部 黒須充

(電話/ファックス:024-548-8220、kuro@educ.fukushima-u.ac.jp)

またはクラブネッツ事務局

三重大学教育学部 水上博司

(電話/ファックス:059-231-9296、mizukami@edu.mie-u.ac.jp)まで。

 

B&Gの幼児運動プログラム

B&Gセンターのリズム体操教室で得られた15年分の運動能力測定データ5,500件を基に、幼児体育のプログラムが開催されました。

3歳から6歳までを対象に、体育館などでの「フロアリズム運動プログラム」と、プールでの「アクアリズム運動プログラム」があり、全国25ヶ所のB&Gセンターで実施しています。またプログラムを理解していただくための体験教室実施等の施設数と合わせて現在50ヶ所になります。プログラムを実施するための指導者セミナーも開催しています。

問い合わせ:B&G東京海洋センター

健康支援システム事業担当

電話03-3643-3121

ファックス03-3620-2722

 

SSFスポーツエイド申請受付終了

平成11年度のSSFスポーツエイド交付申請書の受付は、1月30日(土)をもって締め切りました。

今年は956事業の交付申請をいただきました。

審査の結果は、4月1日付けの文書をもってご報告いたします。

たくさんのご応募ありがとうございました。

 

 

 

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