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第7回IOCスポーツフォアオールコングレス報告

 

バルセロナ市が成功した「オリンピック後」の傾向と対策

 

世界各国でのスポーツ・フォア・オール実現に向けてのケーススタディを報告する第7回IOCスポーツ・フォア・オール・コングレスが11月20日から22日までスペインのバルセロナで開催され、世界130カ国から850人が出席しました。

3日間の会議では全部で23のセッションが行われ、なかでもバルセロナ市議会のスポーツ担当議員アルベルト・バトル氏のセッション「オリンピック後のバルセロナに於けるスポーツ・フォア・オール」が好評。報告の抄録をお伝えすると……オリンピック後に市全体が、市民のためのスポーツ空間に生まれ変わり、日常的にスポーツをする人口が飛躍的に増えました。1週間に少なくとも1回スポーツをする人の数は1985年の36%から、1995年には51%になりました。しかも、スポーツをする人たちの42%が、道路や広場、砂浜など、公共の場所でのスポーツしかしないと答えています。市内には85kmのサイクリングコースが作られ、最終的には100kmまで延長される予定です。レンタルバイクや駐輪所を市内各所に設けたり、夏の間は自転車を地下鉄車内に「持ち込み可」にするなど行政面でのサポートも整備しました。

市民が参加する大規模なスポーツ大会も増えました。毎年5月に開かれる「自転車祭り」には1998年、3万5千人のサイクリストが参加、前年度の参加人数を5千人も上回るという人気でした。また、1993年のマラソン大会は、10万9千人のランナーが参加するという世界最大の大会となり、ギネスブックに掲載されたほどです。

オリンピックのために建設された大規模なスポーツ施設も、管理は市が設立した会社「バルセロナ・プロモチオ」に委託し、市民の施設使用料で運営されています。課題として、もっと市民に利用してもらえるような新しいプログラム作りを進めているところです。

また海に面した土地柄を生かして、過去3年間に1万6千人がヨットを楽しみ、市内の2つの中学校ではヨットが学校体育のカリキュラムに組み込まれました。夏の「オリンピア・キャンパス」プログラムには、毎年8千人の子供たちが参加しています。

バルセロナでの成功例は、世界各地でスポーツ・フォア・オールに取り組む担当者に刺激と希望を与えたようです。

 

'98神宮外苑ロードレース開催報告

 

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障害者と健常者がいっしょに走る'98神宮外苑ロードレース(東京ふれあいマラソン)が、昨年12月20日(日)に国立競技場で開催され、全国から3000人以上のランナーが参加しました。(主催:神宮外苑ロードレース実行委員会=日本財団、東京新聞・東京中日スポーツ、東京陸上競技協会、日本身体障害者スポーツ協会、SSF笹川スポーツ財団で構成)

今年は、知的障害者の10km、車椅子の10km、盲人の5kmという、3部門が新たに設けられ、伴走者と一緒に走る盲人ランナー、凄いスピードで疾駆する車椅子ランナーに沿道から大きな声援が送られました。

 

M君のスポーツ衝撃レポート

 

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スポーツ・フォア・オール

国際フェア'98

 

第2回――スポーツチャンバラに挑戦!

バシッと殴ってスカッと爽快。

 

今回はSSF秋のメインイベント「スポーツ・フォア・オール国際フェア'98神宮外苑大会」の会場にやって来た。子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで楽しめるスポーツがなんと47種類。会場にはデッカイ気球の体験乗船コーナーもあって、かなり盛り上がっている。

なかでも子供たちの声がひときわにぎやかなブースが、スポーツチャンバラ。さわやかな秋晴れの中、元気に殴り合っている(?)子供たち。バシバシ結構大きな音がしてるけど、痛くないんだろうか?

「痛くない、痛くない。だってあの剣の中は空気ですよ。音は派手だけど、怪我はしません」と教えてくれたのは、国際スポーツチャンバラ協会理事・師範・教士7段の長島啓作さん。さっそく、ずばりスポーツチャンバラの魅力とは何か聞いてみた。

「まあまあ、そんなカタいこと言わないで、やってみればわかりますよ」

「えっ! だってぼく、剣道だってやったことないんですよ!」

 

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「そんなの関係ないの。飛び上がって打っても、寝転がって打っても、とにかく相手の体に当てればいいんです。『なんでもあり』がスポーツチャンバラのいい所なんです。だいじょうぶですよ、さあ、早くコレつけて」

あれよあれよという間に、アンパイアがかぶるような顔面プロテクターと、ゴムチューブを空気で膨らませたエアーソフト剣を渡された。剣には長いのと短いのがある。二刀流でもいいそうだが、長剣一本で勝負することにした。

対戦相手は自他ともに認めるSSFの剣豪・T氏だ。

「では、始め!」と長島さんが合図。

「Tさ〜ん、お手柔らかにお願いし……」、

バシッ!

いきなり面が入る。さすが剣道五段。これが真剣だったら即死だ。こっちは素人なんだから少しは手加減しろってーの。でも、全然痛くないや。

ビシッ! 今度は小手だ。プロテクターのない素手に当たると、ちょっとばかし痛い。闘志が燃える。

「ヤアーッ!」と一声、狂ったように打ちまくる。もうすでに相手が上司なんてことは関係ない。ビシバシッ、ビシバシッ。打たれもしたが打ちもした。3分くらいがあっという間に過ぎた。気がつくと息が切れて、汗だくに……そういえば昔こんな風に遊んだことがあったなあ、と今回のスポーツチャンバラ、なんだかすごく懐かしい気持ちになった。

 

今年はダブルダッチがブレイクしそう!

生涯スポーツ指導者講習会の実技練習種目に

 

ダブルダッチは平成10年度生涯スポーツ指導者講習会の実技講習種目となりました。本紙前号で紹介した「ラン・ディー・クルー」のメンバー5人が講師として招かれ、全国から集まった218人の指導者にダブルダッチの楽しさを伝えました(=写真)。

ラン・ディー・クルーは、1994年に結成した題本人材のダブルダッチチーム。昨年12月にニューヨークで行われたダブルダッチ世界選手権大会では、96年に続いてダブルス・フユージョン部門で優勝したばかり。いまや乗りに乗っているプロ・チームです。デモンストレーションでは、これぞ世界No.1と呼ぶにふさわしい演技を披露し、参加者の喝采を浴びていました。

この追い風を受けて、今年はいよいよダブルダッチ人気に拍車がかかりそう!

 

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ラン・ディー・クルーのデモンストレーション

 

クローズアップナウ

*このコーナーではスポーツ・フォア・オールの精神がキラリと光る自治体を紹介します。

 

「生活の中にスポーツを!」

 

平成10年度体力つくり内閣総理大臣賞受賞自治体

新潟県三条市

三条市教育委員会 社会体育課 捧公範

 

三条市は、新潟県のほぼ中央に位置し、江戸時代から信濃川の水運を利用した物資の集散地として栄え、現在では全国有数の金属工業都市として発展を続けています。交通アクセスとしては、高速交通網時代の到来を迎えた中で、北陸自動車道三条燕インターチェンジ、上越新幹線燕三条駅が設置され、さらに昨年は磐越自動車道が全線開通となり、首都圏をはじめ北陸・福島・山形方面への商・工業圏の拡大に結びついています。

本市は、昭和55(1980)年10月10日に「スポーツ都市」を宣言し、"生活の中にスポーツを"をスローガンに掲げました。「市民が一人でも多くスポーツに親しみ健康の保持・増進を図るとともに、多くの仲間とのふれあいの中で生きがいを見つけてほしい」との願いが、この宣言には込められています。

だれもが気軽にスポーツに親しめるよう、市民ニーズに沿った各種行事やスポーツ教室を開催するとともに、健康の保持・増進と体力づくりを図るため、生涯スポーツの推進に努め、市民総合体育祭やジュニアスポーツ教室を実施し、愛好者の拡大と競技力の向上を図ってきました。また、ハイレベルな競技者やチームを招請し、市民に観戦する機会を提供してきました。

主な事業としては、毎年6千人余りが参加する「市民総合体育祭」をはじめ「少年少女スポーツ大会」、「元旦マラソン大会」など、体育協会等関係団体の協力を得ながら開催しているほか、市内5地区の公民館では、「体育祭」や「ソフトボール大会」、「バレーボール大会」「ゲートボール大会」等、地域住民と密着した行事を開催しています。このほか、近年の招請事業として社会人硬式野球、バスケットボール、柔道などを実施しました。

また、健康づくり面では、総合福祉センターを中核施設として各種事業に取り組むとともに、「健康・福祉まつり」を開催し、"みんなで作ろう健康しあわせ"をスローガンに、医師会、歯科医師会、薬剤師会をはじめとする各組織団体との相互協力・支援体制の中で、市民参加が定着しています。

人生80年時代の到来を迎えた今日、市民が健康で楽しく暮らすことが何よりも大切です。また、21世紀を目前に余暇時間の増大や生活水準の向上が求められており、これらを踏まえ健康と体力づくりを基本にした総合的なまちづくりを目指しています。

なお、今後も健康・体力づくりを推進していくうえで、施設の整備も重要であることから、現在総合運動公園の建設に着手しており、平成7年にはスタンド付野球場(1万4,800人収容)が完成。引き続き陸上競技場、テニスコート、体育館が順次整備される予定です。

 

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