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東北大学、住友重機械のグループでは、表3.9.2のように高磁界化に的を絞った中心最大磁界15Tの冷凍機冷却型超電導マグネットの設計、製作、応用について報告している[5],[6]。マグネットは、図3.9.4のように同心状に配置された4個のNb3Snソレノイドコイルと1個のNbTiソレノイドコイル、2組のBi2223系酸化物超電導体電流リードおよびこれらを冷却する2台の4K GM冷凍機から構成されており、常温ボア径が52mmである。大きな特徴として、2電源方式を採用し、外層コイルを励磁後に内層コイルを励磁して15Tまでの強磁界を発生させている。性能試験として、中心磁界15.1Tで24時間連続運転、15T発生中の冷凍機停止試験などが実施され、予定通りの性能を確認している。

神鋼とジャパンマグネットテクノロジーのグループでは、中心最大磁界12T、磁界中熱処理などを考慮して常温ボア径100mmを持つ無冷媒マグネットが開発された[7]。高磁界を発生するためのマグネットに求められる指標である磁場勾配と発生磁界の積を大きくするため、扁平なマグネット形状で設計されている。また、回転スタンドの組合せることで、ボア方向を鉛直、水平に切り換えることを可能にしている。また、励磁速度の向上目的に4K-GM小型冷凍機とNb3Sn線材により、表3.9.3のような諸元の8T-50マグネットによって8T/9.5分の高速励磁も実現している[8]

九州大学、九州電力、富士電機のグループでは、Bi系酸化物超電導体の多芯線を用いた連続パルス運転可能な冷凍機冷却型の40Kで動作する表3.9.4のような小型パルスコイルを設計、製作し、1T、1Hzの三角波連続運転に成功したことを報告している[9]〜[11]。報告は、小型パルスコイルの設計、製作に関連して、主に交流損失特性の評価、冷却構造などの熱設計、並列導体の転位方法の3つに分けて発表している。

 

 

 

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