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報告及びまとめ

 

○井戸

これから各分科会のご報告をいただきたいと思います。私も2つの分科会に顔を出させていただきましたが、大変活発な意見の交換があったように受け止めました。

それでは、先ほどと同じように、分科会A、広野さんからお願いします。

○広野

また、私の経験から申し上げると、まちづくりには特効薬はありません。それぞれの症状に合わせて、町に合わせて、自らが編み出していくしかないのです。ですから、結論としてはそれぞれが自分の住む町に立ち返り、そこに足をしっかりつけて、同じ問題と立ち向かう一人ひとりと手をつなぎ合って、自らの土地の再発見と再認識を何度も何度も繰り返すことが大切です。まちづくりはそこからしかはじまりませんし、そこからスタートして元気になることが、やがてはたくさんの人を呼ぶわけです。「あの町、なんかおもしろそうなことをやっていそうやで」というロコミが人を呼び、そしてそこを訪れ満足した人がまた新たな人を呼んでくる。この繰り返しだと思います。そして、外部の人から「この町はいいね」とほめられることで、町の人たちは自分の町を見直し再発見していく。そういういい循環が起こることが大切なのではないかと考えます。

○前田

地域資源を見直し、それを守り育てる観光地づくりということで話し合いました。

例えば、観光ボランティアガイドの方たちは観光資源について、きちっと地域の歴史性や時間性あるいは文化などを反映したガイドを熱心にされていることがわかりました。中には自分の人生を賭けて、自分たちの地域の観光資源に惚れ込んで、それを皆さんにぜひとも理解していただきたいと、熱心に活動を続けていらっしゃる方もいることを知って感動しています。その情熱を観光客に表現することこそ、観光資源を「物」でなく「事」としても伝えることだと思います。

しかし、今日何度も出てきた話ですが、滋賀県の観光は通過型になってしまっている。つまりそこに滞在型の観光に変換していく仕組み自体を考え直さないと、なかなか観光資源のよさを伝えるという場面が実現しにくいという指摘がありました。ただ、そのための知恵は、時間の限られた分科会では出なかったようですが、観光の形態自体を見直さないといけないことがはっきりしました。それには1市1町だけではなくて、県全体あるいは地域全体でそのノウハウをいろいろ検討していく仕組みづくりが必要だいうことが結論になったと思います。

○高崎

まず、長浜の事例をお話しいただきましたが、その中で出てきたのは、やはり観光を発展させるためには官民挙げての熱意が大変重要である、ということでした。それは人と人の、もしくは行政と民間のコミュニケーションであり、本当に意見を闘わせていくということ、それがいい町、いい観光地をつくっていく、ということだと思います。

また、滋賀県は「通過県」であるけれども、人が通ること自体がうらやましいというご意見もあり、つまり通過県であろうが「人」は来ているという事実を再認識させるものでした。要はそこで「降りて」いただく、そのための「もうひとふんばり」によってお客様をもっと増やすことができるのではないか、というご意見も出ていました。

 

 

 

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