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1) トカル教会

フレスコ画が最も良く保存されているギョレメ最大の教会である。壁や天丼の絵はイエスの生涯を描いたものが多く、受胎告知から昇天までのすべての場面が描かれている。他には、100以上もの聖人の絵があり、カッパドキアの父として知られる聖バジルの生涯を描いた場面も見られる。トカル教会の幾らかのフレスコ画はキリスト教芸術の初期のものであるが、偶像崇拝禁止時代に描かれた。

2) カランルック教会(暗闇教会)

内部に光りが入らなかった為この名が付き、特に保存状態の良いのがカランルック教会である。聖書に記された出来事、聖者たちを描写しており、最も目を引く壁画である。イエスの十字架はりつけ、聖母マリア、クロパスの妻、マリア・マグダレニナ及びサロメが描かれている。

4] ゼルベの峪

ここには大きな洞窟の町がある。町の周囲は高く険しい岩山と、尖った500m程の頂上によって閉ざされた谷間となっていて、多種多様な奇岩でできている。周辺にはギョレメ有数のキノコ岩が見られる。ゼルベは9〜13世紀にかけて重要なキリスト教徒の定住地であり、カッパドキア地方で最も大きい宗教都市であった。修道者や使徒たちの最初の修行は、ここで行われていたと考えられる。

5] ピンクの峪

ゼルベの谷から約4km。ピンク色の岩肌の峡谷に教会があり7世紀の彫刻や11世紀頃のフレスコ画が天丼に残っている。また、ここの夕景はカッパドキアでも有数の絶景スポット。夕日を受けて、ピンク色に染まる峡谷の景色は非常に美しい。

6] キャラバンサライ

後述(5項(1)参照)

 

(5) コンヤ

アンカラから約250km南に位置するコンヤは、アナトリアの芸術、政治、学問など文化面を語る時に欠かすことのできない重要な都市だ。イスラム教神秘主義の一派メゾラーナ教団の発祥地としても知られ、見学に訪れるトルコ国内のイスラム教徒も多い。町自体は先史時代に遡るほど古い歴史を持つ。しかし、コンヤが最も繁栄したのは13世紀頃のこと。1077年にセルジューク族の分派が首都をイズニックからコンヤに移した後、アラアッディン・ケイクバルト時代に著しく発展した。この頃芸術家や建築家、イスラム関係の科学者などを東方から集めて学校が開かれ、コンヤ文化が花開いた。現在も市内に残っている神学校や遺跡の殆どはそのころのもの。当時の文化をこれからかいま見ることができる。メゾラーナ教団の創始者ルーミーも学者の一人であった。コンヤは、コンヤ県(面積4万km2)の首都で人口51万人。宗教的な色彩の濃い町で“宗教人の砦”になっている。平坦な地形で自転車の利用者が多いという。また、最近の傾向として、ドイツに住んでいる250万人のトルコ人出稼ぎ労働者の中でコンヤにアパート投資をする人々が多いという。移動の車窓から建築中のアパート群が垣間見られた。

 

 

 

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