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トルコはその地形、気候の特色から以下の6つの地域に区分される。

1] マルマラ海地域

国の北西部を占め、マルマラ海がエーゲ海とダーダネルス海峡を結び、ボスフォラス海峡がマルマラ海と黒海を結んでいる。スキー場で人気のあるウルダグがこの地区で最も高い山岳地域である。

2] エーゲ海地域

エーゲ海に接する国の西部地域では、変化に富んだ海岸線と切り立った山肌が海に迫る美しい風景が観光客の目を引いている。

3]、4] 黒海地域、地中海地域、

国土の北部と南部を占めるこれらの地域はともに長い海岸線と、海洋性の気候を有している。中でも、地中海岸のアンタルヤはマリンリゾートとしての開発が進んでおり人気が高い。

5] 南東部アナトリア地域

回りを陸で囲まれているこの地域はアララト白く5,165m)をはじめ、山川の自然や歴史的資源に恵まれている。

6] 中央アナトリア地域

首都アンカラが置かれ、地形的にも政治上も重要な地域となっている。

 

(3) 政治・国際関係

トルコ共和国は、政教分離、民主・多元議会制に基づき、法と社会主義の下に人権が擁護されている。1982年憲法の下、トルコは複数政党制民主主義を取っている。国会議員は国民の投票で5年毎に選出され(総理大臣(任期7年)を長とした閣僚が国を治めていると1987年、インフレの激化による国内経済の悪化から第一党である祖国党(ANAP)の人気が低下、89年3月の地方選挙で大敗した。その後、正道党(DYP)が第一党に躍り出たが総選挙で過半数を得られなかった為、社会民主党(SHP)との連立政権の道を選択した。94年1月に米国の著名な債権格付け機関であるムーディース社とスタンダード・プアーズ社の両社が、トルコの財政赤字・経常収支赤字の拡大を理由に格付けを2ランク引き下げたことから、トルコ政府による国際金融市場での資金調達に支障が生じるとともに、同国通貨トルコ・リラの下落が始まちた。94年3月27白、統一地方選が実施されたが、正道党はかろうじて第一党の座を確保し、同党が中心となった社会民主党との連立政権が確保された。このとき、イスラムの復興を標榜する福祉党が得票率を大きく伸張させ、社会民主人民党を上回って第二党に上がっている。福祉党の大幅な躍進は、悪化する経済状況に不満を募らせつつある国民、とりわけ低所得者層の支持を得たためと見られている。それだけに今後の経済情勢と絡んだ同党の動きは、今後のトルコの国内政治の行方を見る上で極めて重要になって来ている。その後トルコ経済の抜本的な再建を目指して経済安定化計画が発表され、経済状況は安定性を回復しつつある。

トルコの外交の特色は、建国の父であるアタチュルク初代大統領の遺訓である「内に平和、外に平和」を基本として冒険主義を排した「現実主義的路線」に置かれている。具体的には、

1)NATOの一員としての親西側政策の堅持、2)左記と矛盾しない形での全方位外交の追求である。冷戦終了後もこの基本路線に変更はないが、ソ連の崩壊後は政治的意味に加えて経済的及びエネルギー事情の観点から、とりわけ中央アジアのイスラム系共和国との関係強化に努めており、これら6カ国に自国、イラン、パキスタン、アフガニスタンを加えた10カ国で構成する「経済協力機構(略称ECO)」を結成したり、或いはアゼルバイジャン、アルメニア、グルジア、アルバニア、ウクライナ、モルドバ、ロシア、ルーマニア、ブルガリア、ギリシャ、トルコの合計11カ国からなる「黒海経済協力圏」発足させている。またトルコにとってEC諸国は貿易相手国としても最も重要な国々である。ECと1964年に連合協定を締結し、その後1987年4月に正式加盟申請を行った。((財)国際協力推進協会開発途上国国別経済協力シリーズNO.19トルコ編)

 

 

 

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