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(2) 本調査研究における自己啓発についての考え方

 

まず、本調査研究においては、(1)で整理した内容を踏まえて、「自己啓発」を「人材育成の基本と位置付けられる」ものととらえ、「職員が自己に必要な能力について自ら認識し、自己の意思をもって能力の向上や開発のために主体的に学習するなどの研鑽に努めること」であると定義することとする。

この場合に、キーワードとなるのは、「自己に必要な能力について自ら認識し」「自己の意思をもって」「主体的に学習するなど」である。このように、自己啓発は、本人の意欲・主体性を前提条件としている。

すべての人間は、それぞれの境遇に応じて多少は人生観や価値観を異にしているが、組織に勤務する者にあっては、一般に自己の保有する個性と能力とを開発し、その職域において最大限に発揮すること、すなわち、「自己実現」を果たすことに対する欲求をもっているものと考えられている。そして、地方公共団体にあっても、職員の自己実現の欲求により、自己の保有する個性と能力とが職務に生かされることを前提に自己啓発を支援することが求められていると考えられる。

もとより、職員が個人的な視点のみで行う自己啓発(以下「個人的な自己啓発」という。)まで、本調査研究の対象と考えてはいない。例えば、職員が自宅で社会状勢についての認識を深めるために一般紙を購読することは、確かに職員が自己に必要な能力について自ら認識し、自己の意思をもって能力の向上や開発のために主体的に学習するなどの研鑽に努めることととらえることができようが、むしろ公務員(職業人)としての自覚に基づくというより、一般人として「自己実現」を果たすための当然の行動ということができよう。また、これらを地方公共団体がすべて把握することは困難である。したがって、このような個人的な自己啓発は、本調査研究での対象範囲とはしないこととしたい。

一方、これに対して、外国語、教養等に係る通信教育講座の受講、自主研究グループの活動などについて、地方公共団体が職員の職務に生かされる内容であると判断し、職員・グループに対して何らかの支援を行っているものもある。このように、地方公共団体が職員の職務に生かされる内容であると判断し、職員・グループに対して支援を行っている自己啓発(以下「調査研究対象の自己啓発」という。)を、本研究会の調査研究の対象範囲とすることにしたい。このほかに、調査研究対象の自己啓発の範疇に入るものの例として、高齢職員の健康管理やライフプラン的な取組、国際化という観点から外国語講座等を受講する職員に対して、地方公共団体がその必要性を認めたもの等をあげることができよう。

 

 

 

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