第 2 部 巻末資料
1. はじめに
近年の海面水温の測定は、エンジン冷却水の吸水口にセンサーを取り付けて測定されているが、第二次大戦以前においては主としてバケツ採水によって行われていた。 C.K.Follandら(1995)は、バケツ採水時に、バケツの壁面、底面、水面を通じて熱の出入りが生じることから、バケツ内の海水が失う(または得る)熱量を周囲の気象値により算定するモデル(以下バケツモデル)を考案し、それにより求めた海水の温度降下量(または上昇量)を補正値とした。
ここでは、彼らが用いたバケツモデルの概説を行う。
2. 布製バケツの熱収支モデル
19世紀後半から20世紀前半の採水には主として木製のバケツが、それ以降については布製のバケツが用いられた。そこで、それぞれのタイプのバケツについての熱収支モデルを考案した。この項ではまず、布製のバケツモデルについて概説する。布製のバケツモデルは以下の(1)〜(7)式に基づいて作成された。