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2. 今後の課題

 

過去4年間の事業で約160万通のデータを電子媒体化したが、残り約250万通あまりがまだ電子媒体化されないままである。マイクロフィルムは時間と共に劣化するので、これらのデータの電子媒体化を緊急にする必要がある。

電子媒体化されたデータは、一般の調査研究に利用されて初めて価値を生む。今後は、世界気象機関の品質管理基準に基づいた品質管理を進め、データセットを充実させることが重要である。

気候を厳密に議論し解析するためには、観測方法の変遷による観測値の系統的誤差、観測値の母集団の差異、観測値の不均一な時空間分布による統計誤差等の評価を十分に行う必要がある。

気候変動の解明には長期間蓄積されたデータが不可欠であるが、残念ながら1940年代以前のデータが十分ではない。この事業を契機として、国内外の気象および海洋の諸組織が持つ紙ベースのアナログデータが電子媒体化される動きが加速することを願いたい。

今後、まだ電子化されていない「神戸コレクション」が電子化されて利用可能となれば、分布の空間構造の乱れやデータ密度の不十分さが解消され、月平均の解析が可能となろう。その結果、地球環境の動態の把握がより一層充実したものとなろう。

 

 

 

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