3.2.6 実験結果の評価
(1) 専用通信ボードの動作
専用通信ボードについては、実験用パソコンに装着して、正常に動作することを確認した。
(2) 送信から受信までの時間
送信から受信までに要する時間は、500バイト以下のファイルで、長くても2秒以内であり、即時的情報の配信には適しているシステムと判断される。
また、今回の実験では、送信した情報はすべて受信されており、送受信問のエラーはなく、信頼性も高い結果となった。
一般的に衛星による通信は、気象の影響(特に雨、雪)を受けやすく、回線設計を上回る降雨強度においては、送受信に支障が出る可能性もある。
JCSAT2の回線設計に関する資料を資料11に示した。
この問題に対する対応策として、径の大きなアンテナを使用することや、適当な距離を置いた複数地点で受信するSite Diversity方式を用いることが考えられ、より信頼性を高めることが可能である。
3.2.7 今後の課題
今回の実験では、情報の送受信に要する時間は極めて短く、即時的情報を伝達する手段としては非常に適していることがわかった。
今後は、この成果をもとに情報作成機関から末端ユーザまでを通した一連の情報伝達について、全体システムとしての性能確認、エラー発生時の訂正処理等について検討していくことが必要である。
また、システム導入および維持に関わる費用については、衛星通信が社会的インフラになりつつある現状を考慮すると、衛星テレビ放送並に価格が下がり、費用面でも支障のないものになると期待される。