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4 まとめ

 

「ポケットベルを活用した同報」、「通信衛星(CS)を活用した同報」のそれぞれについて、現行のシステム運用の中で実現することが可能な改良、開発を実施した。そして、それら改良、開発したものが正常に動作し、設定した機能を実現していることを確認した。

「ポケットベルを活用した同報」については、今回の改良により、たとえ輻輳の激しい状況であったとしても概ね1分以内に確実に情報伝達することが可能となった。津波情報などの時間的に若干の猶予を有する情報に対しては、今回の改良を行ったことで、より有効な伝達手段となったと考えられる。ただし、即時的情報の伝達手段とするためには、より伝達時間を短縮すべく検討を進めていく必要がある。「ポケットベルを活用した同報」には、受信端末が携帯可能であること、経費が安価であることなど種々メリットがあることから、地震発生直後の緊急情報伝達手段として、今後のさらなる改良が望まれる。

「通信衛星(CS)を活用した同報」については、伝達時間の面では、十分に即時情報の伝達手段となり得ることが確認された。

一般的に気象の影響を受けやすいという、CSを活用した情報伝達の信頼性に関する懸念に対しては、アンテナ径の大きいものを使用することや適当な距離を置いた複数地点で受信することなどで、信頼性を十分確保することができることから、即時的情報の伝達手段として十分に活用可能と考えられる。

近年、衛星放送利用者数も増加してきており、衛星を利用した放送や通信は社会的なインフラになりつつある。今後ますます、技術的な改良が進み、安価に大容量のデータが送信可能になるものと期待され、即時的情報の伝達手段としてより適したものになっていくことが期待される。

本調査を始めるにあたっては、最初に(平成9年度に)既存の伝達手段の整理と評価を行ったが、放送や通信の分野の変化は著しく、インフラの整備や受信側のハード、ソフトの進歩には目を見張るものがあるため、評価結果には、もはや現状を反映していない部分もあるように見受けられる。今後も、地上波のテレビのディジタル化が実現し受像機の普及も進めば大容量のデータを迅速に伝達する手段として活用することが可能となるなど、今回の検討では取り上げなかったものでも即時的情報の伝達手段として利用可能となるものも出現してくることが予想される。

したがって、今後もハード、ソフトの技術動向や普及度合いを見据えつつ、即時的情報の伝達手段について、適宜検討していく必要があると考えられる。

 

 

 

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