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議題2 地域が抱える問題/課題

 

Norbert JACKMUTH氏(ドイツ)

バーデンバーデンでも別府と同じ様な問題はありました。バーデンバーデンの客層は老人が最も多くなっています。また、ドイツでも、裕福な人々が多い地域となっています。

若い世代に来訪してもらうために、新しいプログラム企画が必要となっています。ホテルの稼働率も良いとは言えません。

 

Paul SIMONS氏(英国)

バースのみならず英国全土で、1950年代まで温泉に対する政府の補助があったのですが、現在は補助制度がなくなり、財政的な問題から温泉が閉鎖されてきています。

バースは18世紀に2000年前のローマ時代のまちを再現したまちで、ユネスコの世界遺産に指定されています。年間観光客3,000,000人のうち、1,000,000人が温泉を訪問しており、重要な観光資源となっています。遺跡の保存経費は、地方財政の負担となっています。また、公共交通の未整備による環境破壊も懸念される問題です。

 

Massimo SABBION氏(イタリア)

アバノは別府が現在直面している問題を克服しました。10年前までアバノには泥を利用した1種類の温泉療法しかありませんでした。アバノの温泉利用客の50%は外国人で、10年前までは70歳代の人々がほとんどでしたが、1980年代により若い世代の誘致に乗り出しました。ここで言う若い世代とは、40〜50代の人々を指し、これらの客層を掴むことは、今後20〜30年にわたり、リピーターとしてアバノ温泉を訪問してくれるということになります。温泉療法については、まず「美容」という利用売り出し成功、そして「温泉呼吸療法(蒸気を使った呼吸健康法)」を売り出し成功しました。20年前2〜3週間であった訪問客滞在期間は、その後6〜7日間に減少しましたが、現在では9〜10日間に回復しました。

これは、いろいろな療法を導入した成果であり、利用客はリピーターとして毎年、アバノを訪れるようになり、今後も引き続き訪問してくれるでしょう。

アバノには協会という組織がなく、個人企業ばかりです。その他のパッケージとしては、温泉療法に観光を組み合わせ、売り出したり、日本人を対象に温泉にワインと料理を組み合わせて売り出しています。1日のプログラムは温泉療養は午前中のみ、午後は自由行動とし、滞在を楽しんでもらえるような内容としています。1998年には500人が日本から来ているので、今後より一層セールスに取り組んでいきたいと思っています。

 

 

 

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