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序. 調査概要

 

1. 調査目的

 

地球温暖化問題の対策として、公共交通機関の利用の促進は重要な施策であるが、特に鉄道における二酸化炭素排出原単位は、旅客輸送機関の中で最も低く、自家用自動車利用から鉄道利用への転換による二酸化炭素排出量削減の効果が期待されているところである。

鉄道の利用を促進する施策としては、鉄道自体の整備等ハードの施策の他、運賃・料金の多様化などのサービスの改善によるソフトの施策があるが、ソフトの施策の一環として、鉄道車両内に自転車を持ち込むことを促進することが考えられる。例えば、旅行、通勤、買い物等に際し、鉄道車両への自転車持ち込みが可能となれば、自家用自動車の利用を控え、鉄道を利用するインセンティブが働くこととなる。

現在、鉄道車両内への自転車の持ち込みについては、一部の鉄道事業者において実施されているが、より利用者ニーズに即したサービスを提供していくためには、運賃・料金面、安全面、運用面における問題点等を詳細に検討する必要がある。このため、鉄道事業者と協力し、一定期間鉄道車両内への自転車持ち込みに関するモデル事業による調査を行い、問題点についての検討を踏まえ指針を策定し、車両スペースの余裕を活用した鉄道車両内への自転車持ち込みの普及・促進を図ることを目的として実施した。

また、本調査で対象とする鉄道事業者は、常時、混雑している大都市部及び地方都市における鉄道事業者以外の事業者とし、JR北海道、富士急行、三岐鉄道、JR四国の4事業者とした。

 

<<鉄道車両への自転車持ち込みの法的位置付け>>

 

鉄道車両への旅客による物品の持込みについては、鉄道運輸規程(昭和17年鉄道省令第3号)第23条第1項第6号(「不潔、臭気等ノ為同乗者ニ迷惑ヲ及ボスベキ虞アル物品」)及び第7号(「座席又ハ通路ヲ塞グベキ虞レアル物品及び客車ヲ毀損スベキ虞アル物品」)に該当しない限り、法令上は可能である。

自転車の持込みについては、主要な鉄道事業者において、「鉄道営業規則」等の約款に基づき、折りたたんで袋に収納した場合等に限り手回り品として無料にて自転車の持込みを認め、自転車そのものについては大きさが手回り品としての範囲を超えること等から持込みを認めていない。

他方、当該路線の車両の混雑状況、他の利用者との関係等を勘案した上で、約款の改正等により折りたたむ等の処置をしなくても自転車持込みを可能としている鉄道事業者もある。

このように鉄道車両への自転車持込みについては、個別事業者が実状に応じた取扱いを行っているところである。

 

 

 

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