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効果・影響、問題・課題 等

導入による効果、影響

●駐車場利用状況

パークアンドバスライドの駐車場利用は、運用開始当初は1日平均わずか4台程度であったが、1年後の昭和57年3月時点では1日平均21台、昭和60年9月時点では1日平均41台の利用と増加傾向にあった。

しかし、現在は、放置車両が多くなっており、本来意図したパークアンドバスライド利用が少なくなっている状況である。

●バス利用状況

導入当初は、バス専用レーンの設置に伴い市中心部までの所要時間が短縮され、かつ定時性が確保されたことによりバス専用レーンを運行するバスの利用客は大幅に増加した。尚、導入5ヶ月後の8月20日には増便(2便)され、昭和57年12月には『県庁前』直行便の新設を行っている。

●走行速度の向上

広島ランプから徳島駅までのバス平均運行速度は、導入前は9.8km/hとなっていたが、専用レーン実施後は25km/hと大幅に向上した。

●所要時間の短縮と定時性の確保

導入前はピーク時に駐車場から徳島駅まで1時間近くもかかっていたが、導入後は20分余りで到着可能となり、所要時間は40分程度短縮された。

●マイカー交通への影響

バス専用レーン化により一般レーンを含む交通流が非常にスムーズになり、マイカーの所要時間も大幅に減少し、11号バイパスで従来より25分、旧道で20分も短縮された。これは交差点の改良やマイカーからバスへの転換のほか、AM8:30以降は専用レーンが解除されるため、市街部流入方向が2車線となり、容量が増えたことが一つの要因と思われる。

●バス利用圏域の拡大

●通勤者の便益:

P&BRシステムの実施によって北部地域の通勤者は年間1億4,300万円の価値に相当する便益を享受した。特にバス専用レーンの設置に伴う通勤所要時間短縮による効果は絶大であり、バス通勤者はもちろんマイカー通勤者にとっても多大な便益をもたらした。5)

●バス会社の収益

バス専用レーン関連区間におけるバス会社の収益は確実に向上した。バス運賃の増収率は5.8%、1日当たり平均乗客数の増加数は198人である。5)

●P&BRシステム利用者の特性

P&BRシステム利用経験者の個人属性は30・40代の公務員が多く、出発地特性は駐車場の所在する松茂町が卓越して多くなっている。また、目的地まで行くのにバスの乗り継ぎを必要としないゾーンで多い。6)

 

問題、課題

●現在は、駐車場が薄暗いなど、イメージが低下している。また、現在、放置車両が多く、本来意図した利用形態とはなっていない。

 

参考文献

1)瀬山励、事例研究/ケース2 徳島:パーク・アンド・バスライドの試み、地域と交通vol.2-2、pp10-14、1980.11

2)矢野義章・永江正憲、徳島におけるバス路線総合整備モデル事業について、交通工学Vol.16 No.5、pp19-25、1981

3)花岡金光、パーク・アンド・バスライド考、交通工学Vol.16 No.4、pp41-43、1981

4)定井喜明、地方中核都市でバスの復権は可能か-徳島からの報告―、トランスポート、pp48-53、1981.8

5)永江正憲・栗本好正、徳島におけるバス路線対策とその効果 -パーク・アンド・バスライドシステム-、道路交通経済1982-10、pp128-133、1982

6)藤宗常彦・栗本好正、吉野川バイパスパーク・アンド・バスライドシステムの事後評価について、四国地方建設局管内技術研究会論文集Vol.25、pp38-1〜38-18、1982

7)佐野正道・西内勇喜彦、徳島パークアンドバスライドシステムの現状と展望、交通工学Vol.21 No.4、pp23-31、1986

8)建設省道路局企画課、平成8年度版 わが国における交通需要マネジメント実施の手引き、pp24-25、1986

 

 

 

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