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4) まとめ:安心して住み続けられる都市と交通・まちづくりに向けて

 

時間が長くなってしまいましたが、私が最後に申し上げたかったことは、福祉交通ということを考えますと、やはり既存のサービスの枠を破って様々な高齢者、障害者のためのケアをしていくような仕組みが必要ではないかと思います。ご存じかと思いますが、タクシーの方でも介護タクシーということでしょうか、福岡県のメディスタクシーのような事業者が運転者の皆さんに特殊な訓練をしまして、「ケアドライバー」という形でホームヘルパー二級の国家資格を取って介護サービスと併せて輸送サービスをするというような、新しいモビリティサービスをするという例も出ております。そういうことを考えますと、公共交通も次々と交通だけではなくて地域のモビリティにどうサービスするかという視点で広げていく必要があるだろうと思っています。そういう意味では、ノンステップバスという車両だけではなくて、車両をどういうふうに地域に合う形で使っていくか。イギリスの新しい労働党政権の中の言い方では、「クォリティパートナーシップ」と言っておりますが、完全に規制撤廃されたローカルバスの中で、あまりにもそれでは無茶苦茶だということで、自治体とバス企業がサービスの質について契約を結んで、その代わり公共側でもちゃんとバスレーンを確保するとか、あるいは停留所を整備するとか、高齢者の運賃についても全国的に半額程度にしようということで、新しい支援政策を提案しております。

そういった形を含めて、やはり地域が公共交通を支えていくという仕組みに、だんだんと移らざるを得ないと思っていますし、現在の規制緩和の動き中でそれぞれの自治体がそういう形にしていかないと、従来の仕組みの採算性の下では、一般のバスすら消えてしまういうことだと思います。そういう中で単なる福祉交通という形ではなくて、一般の交通の中で福祉を取り込むと言いますか、ノーマライぜーションということになりますけどもそういった方向の検討は非常に重要だと思います。ただ、それではどうしてもカバーできない人がいらっしゃいますので、そういう人達についてSTS的なものでサービスする。その場合に、いかに効率的に進めるかということが課題ではないかと思います。そういう意味で、市民、行政、事業者の連携という形での交通まちづくりという観点が非常に重要ではないかと思います。

最後の方は話が飛んでしまったと思いますけれど、いずれにしてもノンステップバスもそういう大きな枠の中で段々と自治体と一緒になって参加する形でしていかないと、公共交通自体が衰退してしまうと言いますか、うまくいかないという状況にあるということは、ぜひご理解の頂きたいと思います。少なくてもバスは様々な可能性があると。特に規制緩和の中で、新しいサービスを開拓していく良い事例もありますし、公共側がそれをサポートする可能性も大きいということだけ申し上げたいと思います。

どうもありがとうございました。

 

 

 

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