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国際活動

 

MIRCの活動の柱の一つは、海洋データ・情報に関する諸問題における国際協力におかれていることはすでに述べた通りである。国際活動に関連する事項は、後掲のMIRCの歩みにもリストアップしてあるが、主要なものについてここで説明を加えておこう。

 

1.NODC・NGDC歴訪

1997年6月、永田が米国のNODC(ワシントンDC郊外)と国立地球物理学データセンター(NGCD:ボルダー)を訪問し、またポルダーで開かれた地球環境情報ネットワーク(GOIN)のシンポジウムに参加した。NODCでは1/4度メッシュで世界の海の水温・塩分等の統計を行い、その結果を1998年度版(1994年版は1度メッシュ)として印刷の段階にあることを知った。これを踏まえてMIRCは、日本近海についてより精密な統計を行うこととし、そのめにJODCに殆ど収録されていない県水試関係の資料の収集を急ぐことにした。また、パソコン画面上でのデータ処理の実例を見せてもらったが、これを発展させて現場用のQCソフトの開発を行ってきた(別項)。NGCDでは水深データの管理状況を視察したが、この方面の知識が少なかった永田には、全てが新しかった。二度目のNODC・NGCDの訪問は、1998年12月に鈴木(亨)が行った。これはNGCDで開かれた、「天然資源の開発利用に関する日米会議」への出席・講演をする活動と併せて行ったものである。別に報告したようにMIRCでは水深データ品質管理関連の業務を1998年度から開始しているので、NOCDの活動状況の視察をおこない、年度内に招聘を予定している水深管理の専門家との打ち合わせを行った。NGCDでは、そこでの最新のデータ収集状況・出版物等について調査するとともに、JODCあるいは水産庁が保有するデータに関する現状、及び開発したMIRCの現場用品質管理プログラムを初めとして、MIRCの活動について講演を行った。またこの機会にサンフランシスコで開かれたAGUの秋季大会に出席して情報収集を行った。

 

2.海洋データシンポジウム出席

1997年10月にアイルランドのダブリンで開催された海洋データシンポジウムに永田が参加し、MIRC・JODCの活動状況について発表し、わが国でのADCPデータの収集と解析状況と、異常な観測値の統計をQC応用についての試みについて論じた各種の発表を聞いて、コンピューター・グラフィックの応用の面での進展の速さに驚かされた。しかし、データ管理の技術面の議論が多く、データを利用する研究者あるいはデータの提供者との相互協力関係についての議論は少なかった。この点にMIRCの活動の重点を置く必要があると痛感した。

 

3.NODC研究者の招聘

先進的な役割を果たしている米国のNODCの技術・知識を移入するため、その研究者Todd O'Brien氏を1998年1月に約1週間招聘した。物理学的データについては文書等を通しても移入可能と考えられるので、今回はより複雑な生物学的データの専門家に来てもらった。ちょうどJODCに海洋生物学データに関する委員会が活動中であるので、この委員会と共同して2日間のワークショップを開くと共に、生物学的データのみならず海洋データ管理全般についての懇談をMIRC・JODCのスタッフとの間で行った。

 

 

 

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