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メタデー夕(属性データ)システムの設計と作成

メタデータ又は属性データとは、データベースに対するデータを指し、広い意味ではデータの所在情報を指す場合もあるようである。データの大量の集積や多様性の増加から、メタデータの必要性に対する認識は、最近非常に高まりつつある。しかし、比較的進んでいる米国のNODC(国立海洋データセンター)においても、多くの点で検討中の段階にあり、国際的にも統一された定義や基準は得られていないのが現状である。そこで、1997年度においては、海洋研究者や海洋データのユーザーが、どのようなメタデータを要望しているか、またどの程度の情報ならばデータ取得機関から提供してもらえるかについて調査し、理想案と実行可能案の、二つのメタデータの基本設計を試みた。2年目(1998年度)に入って、具体的なメタデータの作成作業を開始したのであるが、上記の品質管理ソフトとその県水産試験場関係のデータへの適用作業の経験から、県水試の観測データをプロトタイプとしてより実行可能な具体的なメタデータ方式を採用した。そうして、さしあたってのメタデータ・ユーザーの具体像が明確でないこともあって、我々自身を直接のユーザーの一つと想定し、どのような品質管理がなされたかの情報をもメタデータに加えることを考えた。品質管理を行うにあたって、データベースを各観測船の各クルーズ毎に纏めて扱うことが有効である(船速チェック等が用意)ことから、メタデータの基本単位をクルーズ毎にとった。これは、データの修正作業を行った時、修正前の元データが何らかの経路を通って再度収集される可能性があること、そうしてそのような場合には二つのデータの一部が異なっており、違ったデータと判断されかねないことが問題である。品質チェックの中で、最も簡単そうで、最も難しいのが重複チェックであり、クルーズ別の品質管理情報を含んだメタデータベースは、重複チェックを容易にするであろう。この他、県水試関連のものを最初に選んだのは、JODCにすでに収集済みのデータ量が少なく、多くがこれから収集する必要がありメタデータを収集時に付加して行くことが便利であること、また若干の生物データが含まれており、今後生物データを積極的に集積する際の一種の基準として利用できるであろうことによる。

今一つの問題は、メタデータベースとデータベースの結び付け方(検索方式)およびメタデータ表示技術の開発である。また、例えば観測船情報(観測時期を付加情報として必要とする場合もある)があれば観測機関や観測機器情報等の固定的な情報は自動的に分かる筈である。したがって、このような関連のあるメタデータ項目はあらかじめソフトの中に組み込んで置く方策を取っている。これらについては将来さらに改善していかなければならないであろうが、作成作業に伴う改良を含めて1998年度中に完成を図る。

 

水深データの品質管理

国内で従来から利用可能であった北西太平洋の水深データファイルは日本海洋データセンター(JODC)が作成したJBIRDと米国で作成されたMGD77とETOPO5である。最近、船舶運行上の目的以外に、種々の地球物理研究や、津波研究、海洋循環シミュレーション、さらには海洋開発やレジャーの方面からも、精密な水深情報に対する要求が高まりつつある。JODCではこのような要求に答えるため、日本近海を対象に500mメッシュの数値水深図J-EGG500を完成させ1998年11月から公開している。この数値水深図およびその加工品については、MIRCのサービス部門(海洋情報室)から一般に提供することになっている。この数値水深図は上記のデータファイルの他、最近のマルチビーム測深機(Muiti‐Beam Echo‐Sounder:MBES)の資料も用いられており、現時点では最も信頼のおける詳細な水深図であると言える。しかし、原データの地域的な偏り等、なおも問題点を残しており、未利用のMBES資料や衛星資料等を用いて今後さらに改善して行く必要がある。

 

 

 

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