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3]限定沿海船については、これまでどおりドライ・エンバーケーションを確保することとする。ただし、膨脹式救命浮器のうち、旅客を内部に収容できるものが存在し、この場合はドライ・エンバーケーションを確保できると考えられるため、これに限って認めることとして、これまでの通達によるいかだの設置を緩和する。

4]救助艇は、条約同様、高速救助艇とし、これまでの通達どおり沿海以遠を航行するRORO旅客船に義務付ける。ただし、500トン未満のRORO旅客船であって限定沿海船であるものについては、海中転落者の救助に際し本船自体が適当な運動性能を有していること及び総員退船においても陸岸からの迅速な救助が期待できることから、通達の要件を緩和し、救助艇の搭載を要しないこととする。なお、このような小型の船舶の場合、救助艇の搭載により、後方視界の制限や重心の上昇等却って安全上のデメリットが生じている実態がある。また、高速救助艇は、一般の救助艇より大型になるため、船舶の構造上搭載することが困難と考えられる500トン未満の船舶については、一般救助艇の搭載を認めることとする。

5]遭難者揚収装置については、他船を救助するための設備でありRORO旅客船のみに備え付けても効果が薄く、また、我が国の内航船の航路の実態からして、RORO旅客船相互の救助を期待するよりも援助機関等陸岸からの救助や他の一般船舶による救助の期待度の方が大きく、本設備の必要性が薄いため、内航船には適用しない。

6]救命胴衣の備え付けについては、退船試験の結果を考慮して、条約同様に船室に戻れない乗客のため、5%の予備の胴衣を備え付けることとする。ただし、総トン数1000トン未満の内航船については、旅客区域の構造が比較的簡易であり、船室に戻れないという事態が少ないと考えられることから、適用しない。

7]救命胴衣灯については、条約でもROROのみならず一般旅客船にも要求されており、一般の旅客船を含めて近海以遠の船舶に適用する。

8]平水船の救命胴衣については、これまでどおりとし、胴衣の減数は認めない。

(4)現存船に対する適用

今次改正による要件は、原則として現存船には適用しない。内航RORO旅客船については、これまでの通達の要件を維持するか、又は新要件に移行するかのいずれかを選択できるものとする。

 

 

 

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