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6.おわりに

救命設備は、海上において人命を確保する最終的な手段であり、また、乗員、乗客の不安を取り除く意味においても、高い有効性が要求されるものである。一方、救命に資するという視点に偏り過ぎ、実態の航路、航行形態の特性を無視した規制を設定することは、海上輸送のツールとしての船舶の有用性・公益性を著しく低下させることとなる。したがって、国際条約の場において指摘された危険性は、内航船についても潜在的にあり得るものであることを認識しつつ、内航船の安全性を合理的な範囲でいかにマキシマイズさせるか、極めて慎重な検討が必要である。

日本造船研究協会第43基準研究部会においては、内航船の救命設備基準を合理的なものとするため、過去3年間にわたって調査研究を進めてきたが、同部会においても様々な意見が出された。

今回の船舶救命設備規則の改正にあたっては、同部会での議論を踏まえて合理的な改正を行うことができたと考えているが、安全基準課においては、今後とも、一層の安全性及び合理性の確保に努めていく所存である。

最後に、同部会における検討及び救命設備規則の改正に関して多大な御協力をいただいた方々に対し、この場を借りて深く感謝の意を表したい。

 

 

 

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