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3.内航旅客船の運航環境

現在、内航旅客船は1,462航路で2,567隻(平成9年度)が就航している。内航旅客船を取り巻く環境は、以下のとおりである。

(1)航行区域と船舶の構造・設備要件

船舶安全法においては、気象・海象条件、陸岸からの距離を考慮して、平水区域、沿海区域、近海区域、遠洋区域の四つの航行区域を設け、これに応じた構造・設備要件を課している。その基本的考え方は以下のとおりである。

 

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このうち、近海区域は、東南アジアまで含む広大な海域であり、その運航形態は遠洋区域を航行する船舶と同様であるため、一般に遠洋区域と同じ要件が課されている。

一方、近年、内航船の大型化、無線通信機器及び及び航海機器の発達等を背景として、本邦各港間(例えば大洗〜苫小牧、東京〜宮崎等)を沿海区域を超えて直線的に航行する船舶が存在している。これらの船舶は、最大でも概ね距岸100海里程度の海域を航行しているが、航行区域としては近海区域に含まれるため、近海区域の要件(すなわち、東南アジアまで航行する船舶と同様の要件)が課されており、沿海区域を航行する船舶に比して一般に著しく厳しい要件が課せられることとなっている。このため、内航海運の経済的視点から、このような船舶について要件を沿海並みに緩和するよう内航業界から要望がなされていた。

 

 

 

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