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ハ 遭難者揚収装置

荒天下において遭難者を迅速に救助船の船内に揚収するための設備である。

ニ 追加の救命胴衣

急速な傾斜・転覆に対して、旅客が船室に胴衣を取りに戻る必要がないよう、追加の胴衣を招集場所に設置するものである。

ホ 救命胴衣灯の設置

これまで設置が要求されていなかった短国際航海旅客船についても、救命胴衣灯が要求される。

(2)内航旅客船に係る救命設備要件

船舶救命設備規則においては、国際航海に従事する船舶を第一種船、国際航海に従事しない旅客船を第二種船と定義し、航行区域に応じた基準を課している。第二種船については、事実上その航行区域が本邦周辺であること等を考慮して、第一種船に備え付ける救命艇等の数量が最大搭載人員の125%であるのに対して、その数量を100%とするなど、一般に緩和された基準が適用されている。

一方、RORO旅客船は、1]車両を搭載することによる火災2]輻輳海域を高速で航行することによる衝突3]広大な貨物甲板に海水が流入した場合の復原性の悪化4]構造上、乗艇場所が高い位置設けられることによる脱出時の転落、等の危険性を有しており、また、昭和40年代後半にカーフェリーの事故が頻発したことから、これまで、その救命設備について通達により以下の強化要件を課しているところである。

1]いかだの数量は、最大搭載人員の115%を搭載する。

2]高い位置からの迅速かつ安全な脱出のため、降下式乗込装置を設ける。

3]限定沿海のRORO旅客船については、ドライ・エンバーケーションを確保するため、救命浮器の搭載は認めず、救命いかだを搭載する。

4]沿海以遠を航行する船舶については、救助艇を搭載する。

5]平水区域を航行する船舶については、最大搭載人員の100%を収容できるいかだ、救命浮器等を備えている場合であっても、救命胴衣の減数は認めない。

これについては、近年の設備の信頼性の向上や、船主の経済負担を背景に、見直しの要請がある一方、規則の透明性及び効力の観点から省令化が望まれている。

(3)外国規則の概要

英国及び米国においても、船舶の種類を外航船と内航船に分類し、内航船については基本的に航行する海域に応じて要件に差異を設けている。

 

 

 

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